彼らはあの日、星座に誓った
「ノエル!ここの床掃除が甘いわよ、もっとキビキビ働きなさいよ!」
「申し訳ありません!すぐに掃除します!」
ノエル・ジャクリーン。公爵令嬢であった彼女は、今や孤児院で奴隷のように扱われている。
両親が不慮の事故で亡くなると、葬儀の後すぐに叔父が公爵家を継いだ。邪魔なノエルは領内の孤児院に引き渡された。
ノエルはお小遣いを寄付したり慰問したりと、公爵家のお嬢様として孤児院を大切にしていた。だがノエルが一文無しになったことで孤児院は手のひらを返してノエルを虐待したのだ。
子供達はノエルを慕っていたが、孤児院を運営する大人に逆らうと何をされるかわからない。見ている以外なにも出来なかった。
そんなある日、とある客人が寄付金を持って訪ねてきた。隣国のジャクリーン公爵家と縁のある侯爵家の夫婦である。
「奥様、寄付金をありがとうございます!」
「それで、私の妹の娘はどこかしら」
「といいますと?」
「ここに、ノエル・ジャクリーンが引き取られたでしょう?私の妹の実子なの。公爵家を継いだ叔父からここに追いやられたと聞いたわ。私達には子供が出来なくて…養子としてノエルを引き取ることにしたの。私もこれで女侯爵をやっているし、ノエルにもそうさせるつもりよ」
孤児院の院長は青ざめる。急いでノエルを女侯爵に引き渡した。あとはとんとん拍子で話が進んだ。そして、ノエルの証言で孤児院のノエルを含めた子供達への虐待が明るみになり孤児院の運営は大きく変わることになった。
ノエルは女侯爵に引き取られて、女侯爵となるべく勉強を頑張っていた。そんなある日、ノエルを訪ねて客人が来た。
「ノエル!」
「エリオット…!?」
ノエルの元婚約者、エリオット・アルビオンである。伯爵家の次男である彼は、ノエルと結婚してジャクリーン公爵家を継ぐはずであった。ジャクリーン公爵家が代替わりするとその話は無くなったが。
「どうしてここに!?」
「ノエルと結婚するためだよ!」
「ノエルが公爵家から追い出されたのを私達夫婦に教えてくれたのは、エリオット君なのよ。だから、二人をもう一度婚約させて欲しいと向こうの両親に打診して、それが通ったの」
ノエルは目を見開いた。
「エリオット…どうしてそこまで…」
「幼いあの日、二人で星座に誓っただろ。永遠に愛し合い支え合うって」
「エリオット…!」
その後ノエルは女侯爵になり、エリオットと結婚して、子宝にも恵まれいつまでも幸せに暮らした。




