月
※小望月:満月の前夜の月
※ふらここ:ブランコ
※ハンターズムーン(Hunter's Moon=狩猟月):10月の月
酔ふ父に 負われて見上ぐ 小望月
三日月に ふらここ吊るし 遊ぶ子ら
おぼろ月 北行く汽車に ついてくる
窓にゐる 裸電球と 盆の月
満ち溢る 熊野の海や 夏の月
緋牡丹に 気づきし月や 妬きをりぬ
新妻と 湯につかりける 夜夜の月
春風や 瓶の水面の 月揺るゝ
冬の月 逆巻く波に 呑まれけり
夏の月 白ひ肢体に 目を覚まし
古寺の 月に色づく 白牡丹
三方に 供へし団子 後の月
乱れ髪 鏡の月が 見てをりぬ
夕月夜 寄り添ふ影の 薄きかな
袋帯 架け橋のごと 月に伸ぶ
夏の月 砂簾に埋もる 裸体かな
月明り 彫刻にせし 砂柱かな
夏の月 障子に笹の 絵を描きぬ
池の鯉 水面の月に 群がりて
今日の月 鏡にしたる 棚田かな
月盗るや 橋の袂の 螢草
里芋と 枝豆供ふ 十三夜
夏の月 抱きし女の 眸にふたつ
月影や 飛砂に消されて しまひそう
母の背で 明月つかむ 子のをりぬ
冬の月 虚空にぽつと をりにけり
この月は あなたも見てる ハンターズムーン