定期テスト勉強→デート
急いで昼ごはんを済ませ支度をする。なんてったって、デート。高校に入ってからは、事前に作戦を練っておかないと、こうやって遊びに行くのも稀になっちまった。まあそれはいいとして、今日の服どうしようかな。気温も上がってきたし半袖でいいかな?じゃあ襟付きのシャツでも着て… いや、待てよ?小春はカジュアルな感じで来そうだな。何回も遊びに行ってる男女のファッションは、くだけていくって何かで見たな。だったら俺も… 結局カーキのTシャツにデニムで落ち着いた。シンプルが1番って、人類史上最も偉大な言葉だと思うのは俺だけ? そんなことを考えつつ家を出る。
「あ、春岐きた!ねぇねぇ、この服新しくおろしたんだよ?どう?どう?」
「…………すごい似合ってる。めっちゃ可愛くてちょっとビビった。」
「……… 」
「え?ごめん聞こえんかった。」
「な、なんでもないわよ、もうっ!行こ!」
「なんなんだよ…」
りりぽーとは俺たちの最寄り駅から20分くらいのところにある。知り合いもたくさんいるから俺はあまり来たがらないのだが、今はテスト週間。いたとしても中学の奴らくらいで、そのくらいなら俺も行きたくなるってもんだ。
「何か見たいものあるのか?小春。」
「んとねぇ、スニーカーと服が見たいかな。とりあえずイディダス行こうよ。」
「オッケー。じゃあ、こっちの方向か。あ、夕飯に食べたいものも考えといてくれよ? まあ一応俺も考えておいたからどっちでもいいけど。」
「じゃあそこは春岐のセンスに任せようかな?」
「よし、ドンピシャすぎてビビんなよ?」
そんなことを言いながら、気づけば買い物が終わり、空も暗くなってきた。2人ともお腹が空いていたので、迷わず店に向かう。来たのは串ストーリー。
「ここ?」
「そう。ここはいろんな食材が串にされてて、自分で選んで席で揚げるんだ。」
「へぇ〜。楽しそう!」
「楽しいだけじゃなくて、めっちゃおいしいんだよね。」
「あれ?来たことあるの?」
「家族で1回な。小さい時のことだからあんまり覚えてないけど。自分で揚げたかったのに、やらせてもらえなかったのだけは覚えてるわ。」
「そうなんだ。じゃあさっさと席ついていっぱい食べないとね!」
一通り食べたいものをとって席につく。俺は牛肉にベーコン、つくねにナス、ヤングコーンをそれぞれ2本ずつ。小春はエビにさつまいも、かぼちゃにオクラ、ウインナーをこれもまた2本ずつ。ドリンクバーでコーラを注ぎ、揚げ始める。
「「いただきまーす」」
「うわっ、これおいしい!!」
「ああ、やっぱうまいな。ほら、ドンピシャだったろ?」
「悔しいけどこれは認めざるを得ないね。春岐にそんなセンスあると思ってなかったな〜。」
「うっせ。でもなんとなくでわかんない?おいしい店かどうかって。」
「そんなことないよ?!食べてみないとわからないでしょ。それを普通と思ってる春岐はちょっと異常…」
「え、これ普通じゃないの?!みんなおいしい店たくさん知ってるからてっきりそうなのかと…」
「それはみんな1回行って、おいしかったから、紹介したりまた行ったりしてるんだよ… じゃあ今度から初めてのお店は春岐に聞こっと。」
「ああ、この飲食店マスターの春岐に任せなさい!」
「……… 」
「おい、向かい合って食べるこの距離舐めんなよ?普通に聞こえてるし普通に傷つくからな?」
「あれ?心の声が漏れてたわ。じゃあ改めて。ダサいよ?」
「もう二度と名乗らねえし教えねぇ…」
お腹がいっぱいになったところで(会計は約束通り俺持ち)、駅に向かう。
「あ、小春。これ。」
「え、何? わっ、これイディダスの時計じゃん!」
「なんかちゃんとお礼したかったんだけど高すぎてもあれだな、と思ってさ。これならちょうどいいかなって。」
「なんか調子狂うなぁ(笑) 春岐もしかしてあたしのこと狙ってる?」
「そそそそそ、そんなことないぞ? ただお礼がしたかっただけだし?!」
「本当かな〜?まあ、いいや、ありがとうね!じゃあ帰ろ。もうお腹いっぱいで眠くなってきた….」
そんなこんなでデートは一応成功、かな? 俺にもっと勇気があれば… あそこで狙ってるって言えれば… そんな思いを抱きつつ眠りに落ちていった。
さて、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。せっかくここまで読んでくれてるので、もう1話だけお付き合いください(終わりという意味ではないですが)。よければ評価とブックマーク登録よろしくお願いします。
次話 真エピローグ です。