定期テスト2
なんとかスタハも乗り越え(笑わないでくれた店員さんたちに、世の中には逆に刺さる心遣いもあるんだってことを懇切丁寧に教えてあげたい)、本格的に小春が勉強を教え始めてくれた。といっても、俺が問題を解いてる横から、ノータイムで「そこ計算違うよ」とか、「その名詞は複数形にならないやつ」とか言ってくれるだけ。でも、その方が俺にとってもありがたい。授業で理解はできているが、演習が足りなくてテストが不安だっただけだからな。それにしても、ほんとにノータイムなんだよな… なんなら食い気味で言ってくるし。もしかして小春のやつ、俺のために『家庭教師入門』みたいな本でも読んでくれてるのかな?俺が解いてるのをじっと見てる小春を横目でチラリ。いつもはポニーテールの髪が今日は下ろされてる。俺はポニーテールが女子の髪型の中で一番可愛いと思う。下ろした時の、ギャップが最高だからな!
「春岐、そこまた違うよ。」
「え、どこどこ?」
「その単語はアクセントが前でしょ?だから正解はこっち。」
「あれ、そうだったけか」
本当ならば俺の部屋で行われるこの勉強タイムは、俺にとっていいことしかなかったはずだ。小春と2人きりで勉強できて、テストもしっかり取れる。だけど3日間のお姫様抱っこは想像の何倍も過酷だった。スタハの時に全てを悟った俺は、最後の日、もはやパシリに成り果てた。小春が動かなくてもいいように、代わりに全てやる戦法だ。購買のパンも4限が終わった瞬間全力ダッシュで買いに行ったし、友達と話しに行きたいと言ってくれば、その友達を引っ張ってきた。しまいには、テニス部の奴ら全員分のジュースを買ってきたりもした(あいつ普段そんなことしないくせに、こういう時だけ引き受けやがって!)。そんなこんなで、この勉強タイムが成立している。嬉しい気持ちと、もう二度とやりたくない気持ちが混在してて気持ち悪い。あ〜、ペン持つ腕が震えてきたわ(笑) これ完全に筋肉痛だよなぁ。
「なぁ小春、そろそろ腕の限界が…」
「じゃああたしが作った予想問題だけやってよ。それ終わったら午後はなしでいいからさ。」
「あれ、よく当たるよなぁ。どうやって作ってんだ?」
「え、えと、えっとね?せせ、先生が授業で『ここ出すぞー』って言ってたところをまとめただけだよ?自力で作ったとかじゃないから、絶対。」
「ふ〜ん?じゃあ俺聞き逃してんのかなぁ。」
「そうよ、春岐ったらすぐウトウトするんだから。早く寝ればいいのに。」
「ぐっ、返す言葉もございません。」
「よろしい。じゃあ、さっさと解いちゃって。」
「りょーかい。」
ー20分後ー
「ふぃ〜。解き終わったぜ。」
「どれどれ。うん、全問正解ね。」
「よしっ。これが解ければテストはいけるな。ありがと、小春。」
「どういたしまして。珍しく頑張ってたもんね。」
「頑張んないと成績やばそうだったからな(笑)
それより小春、午後どっか買い物行かない?りりぽーと行きたいって言ってたじゃん。」
「ほんと?!行く、絶対行く!ご飯奢ってくれたりは…?」
「うっ、そ、そんなに高いところじゃなければ。」
「やったー!!じゃあお昼ご飯食べたらすぐ行くね!」
「オッケー。じゃあまた後で。」
「バイバーイ。」
そう、このデートこそが真の狙いだ。ってやばい。
まだ玄関にいるな?!
「小春!テニス部とか誘うんじゃねえぞ?!」
「あはっ、わかってるって。」
「ったく。」
ふぅ〜、危ない危ない。気を取り直して。そう、このデートこそが真の狙いだ。勉強を教えてもらい、デートもできる。完璧なプランだと思った。てか完璧だったよな?どこで間違えたらお姫様抱っこなんて出てくんだよ…
次はデートです。少しじっくり考えたかったので、定期テスト2は早めに出しました。よければ評価とコメントよろしくお願いします。