プロローグ2
プルルルル。プルルルル。スマホが鳴ってる。誰からだ?あぁ、春岐か。
「もしもし?」
「おい、聞いてくれよ、ふゆ!あいつったら、また、また〜!!」
「あー、わかった、わかったから。もう少しちゃんと説明して?」
「放課後に小春をカラオケに誘ったんだよ、2人で話してて、行かない?ってさ。そしたら普通2人だろ?」
「まあ、そうだね。普通はね。」
「なのにカラオケ行ったら部活の連中待たせててさ!『大勢の方が楽しいじゃん?』だってよ!!大勢で行きたいなら帰る前に教室で誘うっつうの!!」
「それは春岐が悪いね。」
「えっ、おいふゆ!俺を裏切るのか?!」
「だって春岐、考えてもみろよ。小春ちゃんが思い通りにいってくれたことなんてあったか?」
「………ない。」
「だろ?ちゃんと2人でって言わないと〜。言ったところでこっちの下心とかぜ〜んぶ、あの子の天然パワーが片付けちゃうんだから。言わないと伝わるわけないじゃん。」
「う〜〜〜〜」
「全く、何年一緒にいるんだか。こんなんじゃ付き合うなんて夢のまた夢かなぁ。」
「うるせぇっ!あいつが鈍すぎんのがいけないんだよ!もうっ!」
ガチャリ。あれ、切られた。春岐をいじるのは楽しいね。圧倒的に小春ちゃんが悪いんだけど、あの2人にはさっさとくっついてもらわないとね。ん?LIKEでメッセージ?
春岐「いつも相談乗ってくれてありがとな」
全く。あいつは僕を罪悪感で押しつぶす気かな?
「あぁ〜〜〜〜!!」
ベッドでしばらく手足を振り回して発散する。小春と遊びに行くのは嬉しいはずなのに、帰ってくるといつも、こうやって暴れたくなる。これもあいつが鈍いせいだ。ふゆこと山本冬人はいつも相談、っていうか愚痴に付き合ってくれる。小中と同じでよく遊んでたが、あいつは県外の超進学校に行ってしまい、会うことは滅多にない。夜に電話するのが大体だ。そんなことは今はいい。小春だよ、問題は!なんだよあいつ、10人以上連れてきやがって。しかも俺の歌の時だけ全員でタンバリン叩きやがって。なんの拷問だよ。でも。
「やっぱ好きなんだよなぁ」
はあ。これだから幼馴染みを好きになるのは楽じゃない。
「春岐、開っけるよぉ〜!」
「おわっ、小春なんでいんだよ!」
「今日うちお母さんもお父さんも仕事遅いからさ。おばさんにご飯来たらって誘われたんだ。」
「あ〜、そういや朝そんなこと言ってたような…?」
「そんなことよりっ、なにが好きなの?は〜るきくん?」
聞かれてたのかよ!やばいやばい、えっと、えっと〜〜〜
「かかかか、カラオケだよ!あんなにタンバリン叩かれてもやっぱりカラオケは好きだなって話!」
「あはっ、めんご⭐️」
「ったく。それよりなんで俺の部屋に入ってきたんだよ。」
「あ、おばさんがご飯だから声かけてきてって。」
「じゃあ早く行かないとだな、ほら早く早く。」
「わっ、ちょっと押さないでよ、わかったわかったから。」
ふぃ〜。なんとかごまかせた、か?全く独り言も楽にできないなんて、隣の家の幼馴染みを好きになるのはもっと楽じゃない、ってことか。お、この匂いは肉じゃがかな。俺も早く行こっと。
とりあえずエピローグはこれで終わりです。家族関係とかはまた追々やります。ここからは小春をもっと前面に出していきます。乞うご期待!