プロローグ
「…岐?ねぇ春岐?お〜い!!」
なんだよ、全く。う〜ん。
「ねぇ春岐ってば!」
「ふぇっ!」
「もうっ、や〜っと起きたんだから。
ほら、急いで支度して!急がないと学校遅刻しちゃうじゃん。」
「マジでっ!?ってあと20分しかねぇじゃん!
ヤバイ、ヤバイ!!
あ、小春、起こしてくれてサンキュな。」
「どういたしまして。そんなことより支度、支度〜」
「わかった、わかった。外で待ってて。」
急いで顔を洗い歯を磨いて、くたびれ始めた制服に腕を通す。
「悪い、待たせたな。」
「ほらっ、春岐、走るよ!急がないと置いてくよ!」
「ちょ、ちょっと待てって!」
小春に置いてかれないように、靴紐を結び直す時間も惜しんで後を追いかける。こんな感じで毎朝学校に滑り込むのが俺達のルーティンだ。
さて、みんなが知りたいことはわかる。私文の俺には必要ない数学の授業を有効活用して説明しようと思う。
俺は安西春岐。健全な高校2年生だ。なにか人と違うことがあるとすれば誕生日が同じの幼馴染みが1人いるところだろうか。彼女の名前は岡安小春。俺と小春は同じ病院で同じ日に生まれた。俺の母親も生まれたその病院は家から車で1時間半くらい。そんな病院で同じ日に生まれた2人がまさか家が隣同士になるなんて誰が想像するだろうか。おっと、先生が回ってきた。急いで問題集を解いているフリをする。なんだか眠くなってきたな・・・
昨日は遅くまでゲームしてたもんな・・・
あぁ・・・もう無理。
キーンコーンカーンコーン
あぁ。よく寝た。昼休みか。運動部どもの壮絶な争いが終わった購買で、売れ残ってた卵サンドとあんパンを買い、教室に戻る。
「あれ?春岐そんなんで足りるの?朝食べてなかったでしょ?」
「さっきの授業寝ちゃってたから出遅れちゃってさ。これしか残ってなかったわ。」
「も〜、そんなことだと思った。はい、これ。」
「これ、焼きそばパンじゃん!どうやってあの戦争を乗り越えたんだよ。」
「おばちゃんに先払いして確保しておいてもらったんだよ♪感謝しなさいよね。」
「いや、マジで助かったわ。この後の授業寝て省エネしとかないと耐えられないかと思ってた。本当持つべきものは幼馴染みだなぁ。」
「全く、こういう時だけ調子いいんだから。」
「なに言ってんだよ、俺はいつも調子いいだろ?」
「はいはい。早く食べなよ。」
焼きそばパンのおかげで午後の授業もどうにか乗り切り、帰路につく。俺は運動神経はいい方だと思う。だが、部活には入ってない。なんでかって?小春との時間を大切にしたかったからだよ!それなのにあいつときたら週7のテニス部なんかはいりやがって。そう、俺は小春のことが好きだ。いつからかなんてわからない。なんせ物心つく前からずっと一緒だからな。中学の時はクラスも違ったせいで朝と夜に顔を合わせればいい方だった。だから高校ではいい感じに持っていって告白までしようと思ったのに!あれ、小春だ。
「お〜い。小春。部活じゃねえのか?」
「あ、春岐。今日は久しぶりのオフだったんだよね。」
「そうなのか。じゃあどっか遊び行かね?カラオケとか。」
「え、本当!行く行く!そうとなったら急いで帰って着替えないと!」
「毎朝走ってんだから帰りくらいはゆっくり行こーぜ。」
自然な感じに誘えたんじゃないか?内心はウキウキだが、そんなことはおくびにも出さず小春を追いかける。
初めて書きました。スマホで書いているのですが、一部分だけ文字を大きくせる方法を教えてくれないでしょうか。なるべくむず痒い思いをさせないように頑張りますw