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(3) 出会いまで②
その日の夕方だったか。
おなかがすいてきたころに、またその人間はやってきた。
「今度は何だ?また冷やかしか?」
そう思ったがしっぽは元気に反応してしまう。
悲しいさがってやつさ。
でも今回はなにか様子が違うような・・・。
入っていた部屋から出されて、あれやこれやといじくり回された。
「やめろってのーーー!」
と暴れては見たものの、俺の力じゃ太刀打ちできない。
ここは嵐が去るまで大人しくしてよう。
『受け取りに来ましたー』
『早かったですねー。ではお渡ししますね』
人間同士の会話から、俺の新しい家が決まったみたいだ。
「やっと俺の魅力が伝わったのか?気付くのが遅すぎるぜ!」
しっぽは自然と全開で振りまくっている。
そのまま、女の方に抱かれて車に乗り込むと、新しい住居にむかった。
これが主人との出会いだった。