(2) 出会いまで①
俺はいつものように透明な部屋に入れられて眩しいところに来ている。
毎回違うところに運ばれては人間にみられる。
『きゃー、かわいいねー』
そう人間が言って寄ってくる。
「俺の可愛さがわかるのか?一緒にいてやってもいいんだぜ?」
まんざらでもない俺。
だが、すぐに人間は離れて行ってしまう。
そして他の所でも騒いでいる。
「冷やかしお断りだっての」
深いため息をつくとまた隅で丸くなる。
何回移動と見世物を繰り返しただろう。
どれだけの人間に出会ってみても、俺の眼鏡にかなう人間は見つからない。
今回の所もいつもと同じ並べられ方だ。
この場所では5日いるらしい。
3日目にやっと抱いてみたいという人間がやってきた。
俺の魅力に気付くのが遅すぎるぜ!
「ふぅ、久しぶりに外の空気を吸ったぜ」
俺は人間に抱えられながら、外の空気を満喫した。
抱き方が上手だったので、文句を言うはずもない。
「抱き方がうまいな・・・これは大人しくして可愛さアピールするに限るか」
あまり動かないようにして、目をキラキラさせる。
クンクンしてすり寄っていくことももちろん忘れない。
『うわー、この子可愛いー。うーん』
そういいながら人間は考え込んでいるようだ。
そこにもう一人の人間が近寄ってきた。
『飼いたい?』
今俺を抱いている人間に対してそう言ってきた。
「なに!?」
俺は思わず反応しそうになってしまった。
いやいや、待てって俺。
そういうのはこれまで何度もあっただろう。
落ち着いて成り行きを見守るのだ。
人間同士で話し込んでいるようだった。
その間俺はひたすらかわいさアピールを忘れない。
『じゃあ向こうに行きましょうか』
そうって人間は俺を部屋に戻してしまった。
「こいつらもダメだったか・・・」
いつものことだから、これくらいじゃへこたれないぜ・・・。
ぐすん。