白銀の朝はときめき
ワルトトイフェル作曲「スケーターズワルツ」をBGMにお楽しみ下さい。
「わー! 雪」
朝、起きて外を見たら、外は一面、雪景色だった。
屋根の上も地面にも、軽く5㎝くらいの雪が積もっている。
「氷、張ってるかな。スケートできるかな」
この辺りは温暖な地方で、雪が積もることなど滅多にない。
だから、私は呑気にそんなことばかり考えている。
シルクの紅いスカーフがお気に入りの制服に着替え、まだ残っているお正月のお餅の入った味噌汁で朝食を済ませると、私は、いつもより少し早い時間に家を出た。
雪で遊ぼうという魂胆だ。
歩きながら、白うさぎよりも白い雪に触れた。
それは、想像以上にひんやりとした感触だった。
けれど、掌に乗せれば、溶けていくのも一瞬で……
「うん? いつもより歩きにくい……」
しかし、慣れない雪道で、私は思わず足を滑らせてしまった!
「イタタ……」
ぶつけたお尻の痛みより、まずは、立ち上がらないと……
「大丈夫? 四條さん」
その時。
私に手を差し伸べてくれたのは、
「千綿先輩……」
生徒会長の千綿先輩だった。
「派手に転んだようだけど、指は大丈夫? 書記の君のタイピングは、神業だからね」
そう、ふわり笑うと、手が重なった。
「あ、あの。だ、大丈夫です……!」
うー、片想いの先輩の前で大失態!
「それなら少し急ごう。7時55分の電車に間に合うよ」
「先輩……いつも、55分の電車に乗ってらっしゃるんですか?」
「だいたいね。生徒会の仕事が忙しい時は、もっと早く出るけれど」
言いながら、自然に並んで歩き始める。
8時台の電車しか乗らない私は、先輩と同じ電車に乗れないわけよね……
そんなことがわかったのも、この雪景色のおかげ。
明日からは、少し早起きして、この電車に乗れるようにしよう。
そうしたら、今より千綿先輩ともきっと……。
そんなことを思うと、自然と笑みが零れる。
一面の銀世界、吐く息も白く……。
本作は、銘尾友朗さま主催「笑顔でいこう企画」参加作品です。
銘尾さま、参加させて頂き、そしてお読み頂いた方、本当にどうもありがとうございました!
【追記】2021.6.30
本作は、黒森冬炎さま主催「劇伴企画」にも参加させて頂きました。ありがとうございました。