第4話 「友人」
今日の久保はいつになく元気だ。
明日からの夏休みを俺らかわいい生徒達よりも楽しもうという魂胆に違いない。もう四十も近いオッサンにそのような楽しみを与えても良いのだろうか。普段はかわいい生徒思いのダンディハウス先生も夜になれば風俗に足を運び、「今日は金がないから40分素股コースで(笑)」とか言ってるに越したことはない。
こんなやるせないオッサンの中の一人であろう久保みたいな奴がこの夏をおおいにenjoyするのを俺は許せるわけがない。
前に木刀を盗んでやった時のように何かしてやろう。
木刀のリベンジだ。
とりあえず一人で考えていても仕方がないので、後で水島に相談してみることにした。
水島とは1年の時に同じクラスになり、現在に至るまで親しい仲を保っている。実は木刀を盗む計画を最初に立てたのも俺と水島の二人だったのだ。その他にも水島とは色々やった。
2年の頃、学校の仲の良い男を集めて「なんやこいつめっちゃキモい」を言う会というものを作ったことがある。
街でキモい奴を見つけて20人くらいでそいつを囲み、「なんやコイツめっちゃキモい」としばらく連呼する会のことだ。
ここで争点となったのがキモい奴の位置付けである。
ただのオタッキーなキモい奴を囲んで言うのはイジメみたいで好きじゃない。
どうせやるなら不良みたいに格好つけてる奴や偉ぶってる奴にしようという事になった。
それでいて、一人に集中攻撃するのも忍びないので、グループで調子こいてる奴らを攻撃するという決まりができた。集団になるとすぐに調子に乗るような奴がターゲットである。
ある日、電車で茶髪・パーマの要塞で頭を固めた女子高生らチャイルドギャル3人が座席の真ん中を陣取り、人目はばからず自分たちの写真を携帯で撮って騒いでいたから、それまで散らばって座っていた俺たちイカした野郎総勢23名で女子高生の前にわーっと立ちはだかった。
それまで憎たらしい笑顔で騒いでいた女子高生3人はこの事態にはびっくりしたらしく、茶髪のパーマがもう一層巻いたかに見えた。
それでも始めは女子高生も「なんだてめーら」のような喧嘩口調で防戦していたのだが、とうとう机の上のりんごが床にコロリと落ちたかのように、その内の一人が泣き出したので、そいつの頭をおもいっきしひっぱたいてその場は逃げた。
今考えると、よく23名も集まったなあと素朴ながら思う。