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第3話 「教師」

いきなりだが、俺の通っている学校が木造というのは嘘で、本当は鉄筋コンクリートだ。

双眼鏡の悩みから解放された俺の所へ山下君と江口君がやってきた。担任がまだ来なくて暇なのだろう。

俺は山下君は好きだが、江口君は嫌いだ。

江口君は自分自身のことをもう少し知った方が良いと思う。


この前、数学の授業中、江口君が消しゴムを家に忘れたと騒いでいたのだが、その騒ぎっぷりが浦島太郎のようにうっとうしく思えたので、俺がわざわざ消しゴムを貸してやった。

もちろん親切心からではない。

この腹立たしい騒ぎをこの消しゴムで消してやりたかっただけである。

授業が終わるや否や、江口君が俺の席にやってきた。

消しゴムを返しにきたのだろうと思いきや、ガンダムの話をし始めた。

アムロとシャアの物真似で谷村新司メドレーを歌いだした。

オマエの顔を消しゴムで消してやろうか。


それから二週間後、何気なく江口君の筆箱を見ると俺の貸した消しゴムが当たり前のように入っていた。

俺は江口君を消しゴムで消すことに決めた。

最速、この夏にでも実行しようと思う。


山下君とは1年の時に同じクラスになったため、その頃から仲が良い。仲が良いと言っても学校の中だけで、外に出るとお互い他人だ。

この間の土曜日に、駅前のCDショップで山下君を見かけたが、そのままにしておいた。


そうこうしているうちに担任の久保が入ってきた。

久保と聞くと、色黒でパンチ頭のヤクザみたいなオッサンを想像するかもしれないが、担任の久保はそれに加えて木刀というオプションが付いている。

だが、根は優しいイカしたナイスガイだ。

でも俺は嫌いだ。

コワモテだがちょっと優しかったりする奴みたいなキャラが鼻につく。


一度、友人らと久保の木刀を盗んでみたことがある。

その日の放課後、久保から「銭湯に行こう」と誘われたから木刀を一緒に盗んだ友人らと行った。

その帰り道、久保が

「俺に何か言うことはないか?」

と言ってきたから、友人の浅井君が

「実は木刀を盗みました。」

と言ってしまった。

俺も他の友人もびっくりしたが、久保は

「ん?銭湯を盗んだ?何をボケたことを言うんだ。浅井は面白い奴だなあ(笑)」

とその場を誤魔化したのだ。

何て良い奴なんだ、久保は。

その上、ジュースまでおごってくれた。

「風邪ひくなよ!」

そう言って大きな手を振りながら久保は去っていった。

その後、俺らは公園で話し合った。

その結果、近いうち木刀を久保に返そうということになった。

家に帰ると親父が怒り狂っていた。

先ほど久保から家の方に電話があり、俺が木刀を盗んだことを告げられたらしい。

あの日の親父の木刀は痛かった。

次の日、友人らとの会議で久保に木刀を返さないことが決定した。

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