星をみた
思い出してしまったのだった・・・
始末に悪い思い出だった。
今でも、ごくまれに思い出す事が有る。
それは一人何かで、ぼやっと夕焼けの空を見て、
夕暮れの空に星のまたたきの光りを見つけた時だ。
小学生の頃、夜の時間に、何を思ったのかー
納屋の屋根にハシゴを掛けて、
そのてっぺに登り仰向けに寝そべったのだ。
満天の星空だった。
背中の冷たいトタン板が、夜と言う時間を知らせていた。
季節の生ぬるい気温が、さすがの夜に冷えびえとしていた。
夜露が薄っすらと屋根のトタンを湿らせ濡らしていた。
仰向けに寝そべり、見える光景。
満天の星空だった。
世界がそこに有る。
けれど手は届かない。
けれど、世界がそこに見える。
ああ、なんて星空。
満天の星空。
夜に、そこへ行けない自分が居た。
何をどうしても行けない自分が居た。
その夜、
僕は何かを得て、何かを失った。
そんな夜の記憶が自分の中に有り、
本当に忘れた頃、ひょっこりと出てくるのだった。
せめて、可愛い女の子の思い出だったらー・・・
今夜も酔っ払い、おぢさんは酒を重ねるのだった。
人の命と存在の限界は、あまりにも、ちっぽけすぎる。
だからこそか人は憧れるのだった。