陰りのある景色
掲載日:2015/08/27
揺れる車窓の先
塊になった雲が見える
太陽を背負って出来た陰が
遠い山より高くそびえる
沈んで行く夕日を遮る
積乱雲のシルエット
弾ける様に光が走った
雨雲を裂いた白い瞬き
それはほんの一瞬だけ
街の姿を浮かび上がらせた
通り過ぎるだけの風景に
再び広がる夕闇
随分と空いてきた車内
心地良い車輪の振動で
ふいに眠気が過る
ゆっくりと途切れて行く意識
「一人って案外悪くない」
思考を覆った薄い瞼
太陽も街も思いさえも
隠されることを厭わない
嘘は罪だっただろうか?
沈黙は逃げだっただろうか?
日常にはいつも陰りがあって
真っ暗闇だと怖いけれども
星一つ見えない終着駅
宇宙を隠した曇り空
何も見えないはずなのに
不思議な位に空が明るい
あれは地上の灯り
微かに夜空へ届いた照明
天気は陰って晴れ間もない
でも
だからこそ
確かに見えた景色もある
陰だけになった林の上
流れる雲は薄らと白んで




