すてきな土曜日、きっかけ
休日編スタート!!
「で、どこ行くの?」
つんつんとした口調で広末が栄太に言う
「そ・・・それがぁ・・・」
「決まってないとか言わないでよ~?」
「決まってないです・・・」
「え!?どうゆうこと?」
「す・・・すいません」
いつも明るい栄太の口調がだんだんとしぼんでいく
「や・・やめないか!」
幸久が場の空気をよくしようと切り出す
「まぁ、いいじゃん」
「よくないわよ、何にも決めてないなんて信じられない!」
「ひゅ・・ひゅいません・・・」
ダメだこれは、そう思ったときだった
「そうだ!!」しぼんでいた栄太が光を取り戻す
「楽器屋に行こう!!」
「なんで?」
幸久が言う
「なんでもいいじゃんか・・とりあえず行こう!」
「楽器屋・・・あぁいいねいいね!」
少し忘れていたがこいつは日本一のバンドのギターボーカルになる男だ、早めにきっかけを作っておこうと幸久は思い賛成した
「いいねぇ~楽器屋、私もクラリネットいくらくらいするかみたいしなぁ」
夢川も賛成のようだ
「よし、じゃぁそこにしよう」
といったのはいいもののどこの楽器屋にするかが問題だ
「ここらへんと言えば・・・」
「あそこは?ヒカリ」ヒカリとは全国にいっぱいあるショッピングセンターの名前である
夢川が言う
「あそこって楽器屋ないよ?」
広末が言う
「違うよ、もう1つの」
「あぁ、あそこ?でも電車乗らなきゃ行けないよ?あそこ」
「別にいいじゃん」
「何言ってるの、まだ中学1年生よ?そんな電車なんて・・・」
「琴音?何言ってるの??」
まずい!幸久は再び切り出した
「だぁーっと、じゃ電車乗っていこう!ヒカリ」
「さんせー」
栄太は嬉しそうな顔をしていた
切符を買う・・・しかし
「財布・・俺のばか」
1500円、行きと帰りで500円だから
「破産だな、これは・・・」
幸久は軽く絶望を味わった
「あー!、無い!!」
どうやら広末も無いようで、幸久は少しにやけた
そんなこともあってショッピングモール、ヒカリへ
「おぉ~やっぱ中学生の遠出はわくわくするなぁ」
背も小さいからショッピングセンターも大きく見える
「じゃぁ早速」
「行きますか?」
楽器屋へ!!
楽器屋は全国チェーンのカワハ楽器だ!
「おぉ~広い!いっぱぁい!!」
中学生みたいに騒ぐ栄太
中学生か・・・
「幸久!見てみろよ!!これ全部ギターだぜ?」
「なぁに言ってんだよ!ベースもあるよ」
「ベース?何それぇ?」
「おまえそんなのもしらねぇのか?何のために来たんだよ」
バンド組んでって言うんだろ?
「それが幸久」
「おう」
いってちょーだい
「おまえって琴音と付き合ってんの?」
へ?
「おま、近くにいるだろ」
「大丈夫だよ、あいつらクラリネット見にいってるからで付き合ってんの?」
「付き合ってねぇよ」
「本当か?」
「本当だよ」
「だったらいいんだけど」
「あ!」
「どうしたんだ?まだあるのか?」
「幸久!いきなりだけど俺とバンド組んでくれ!!!」
今かよ
「・・・いいぜ」
「やったぁ~」
17年後の日本国民さん方、俺がきっかけになってやったぜ?
「で、俺は何をすればいいんだ?」
笑顔で幸久は言う
「えーっとぉ、あ」
栄太の目の前にはベースがずらりと並んでいた
「これ!」
そういって栄太は1つのベースに指差した
「わかった」
このベース・・・ふふ
そのベースは偶然にも17年後の幸久が買おうとしていた型だった
「おし!あとはドラムだな」
「おまえがドラムしろよ、パーカッションなんだし」
「いや、俺は歌が歌いたいんだ」
そういやこいつは歌がうまかったな
「よし!今はじゃあこれで決まり!」
「おし!」
夢が一気に膨れ上がった
まだまだ休みはおわらない