先輩、入部
今回入部です
「すごいねー!!何か習ってるの?」
「いえ、別に何も・・」
玉城先輩が目を輝かせて言ってくる
とてもぎこちない
「すごーい、もっかい吹いてよ」
「は、はい」
やはり懐かしい
そして恥ずかしい
なんせ今音楽室にいる全ての生徒に俺は見られてるのだから
多分幸久と広末はこの学校で1番クラリネットがうまいだろう、広末の場合成人になっても趣味で吹き続けていたらしい
「すごいねー君達」
やってきたのはクールな感じの3年生成田秀子先輩だ
「本当になにも習ってないの?」
「はい」
「ふーん」
そう言って成田先輩はクラリネットの本体をはい、と渡してきた
「つけ方わかる?」
「えーっと」
あえて間違える、全てを見透かされてるようだった
「こうですか?」
「あぁ、ここをこう」
「あ、ありがとうございます」
ずっしりと重みがある
前はサックスだったからクラリネットを持つのはほぼ初めてだった
「なにも抑えず吹いてみて」
「は・・はい」
吹く・・・
鳴った
「比奈ちゃん、メーターとって」
「はい!」
玉城先輩はすぐさまメーターを取って成田先輩に渡した
「ありがとう」
そういって成田先輩はメーターをクラリネットのベルの部分に向けた
ソの音のようだ
「へぇ~」
少し笑う
「じゃぁじゃぁ」
ここをこうやってといわれるままに指をくっつける
「吹いて」
「はい」
鳴る鳴る
「これがドの音ね」
「は、はい」
「じゃぁ次は....
1時間後、結局全ての音を吹いて、そのあと基礎練習を教えられるというところまで行ったところで先生が来た
「こんにちわぁー」
音楽室に入ってきた音楽教師、寺川佳美に2、3年部員が挨拶する
「はい、こんにちわ」
寺川は笑顔で挨拶に応える
「じゃぁ注目!」
一同が寺川のほうを見る
「1年生のみなさん、こんにちわ顧問の寺川です、あなたたちは今日と明日の2日間でやりたい楽器を体験してもらってあさってに入部してもらいます、いいですか?」
「はい」
やはり返事をしたのは幸久と広末の2人だけであった
「はい!いい返事です、部長さん合奏は5時からするから、ロングトーン忘れずいっといてね」
そういって寺川は音楽室を去っていった
時計は4時45分を指していた
部長兼クラリネットの成田先輩が言う
「じゃぁ今日はここまでだから~」
音楽室から出るとき
「幸久君、琴音ちゃん、絶対入ってね」
「はい」
そう交わして音楽室を去った
次の日も同じようなことをして3日目、入部の日
「じゃやってもらうパートを発表していくからパートの場所行ってね~」
順番に呼ばれていく
「じゃクラリネットは、日向君と広末さんと夢川さんと相川さん」
「はい」
呼ばれる4人
これからがんばりましょうとは言わなかった
「日向一緒やな」
同じ小学校だった相川詩織が笑いながら言ってくる
「ひさしぶり~」
「なに言ってんの?」
「いやいや」
話すの17年ぶりだから
「幸久と琴音うまいんだね」
夢川が横に入ってくる
「うん、まぁななんでだろう・・??」
「才能だよ!すごいよ」
「そうか?」
「うん、すごい」
「ありがとう」
嬉しいなぁ、と思う幸久
「よろしくね」
「おう!」
2年半この笑顔と頑張れる
嬉しすぎて鼻血が出た
最近部活引退しましたがこっちはまた入部です