体験
五話です
「よう!幸久と拓馬かぁ!」
「よ、よう栄太」
多分重くなってるのは今はおれだけだろう
こいつが日本1になるんだぜ?
「ところで幸久、おまえ楽器何にするの?」
拓馬が幸久に問う
「えぇ!?俺??えーっとぉ」
思わずてんぱってしまう幸久
「どうしたんだ?そんなに部活が緊張するのか??」
「いや、別に・・・あ!そうだ拓馬と栄太は何のパートに入るの?」
知ってるが一応聞いてみた
「俺は・・・サックスかな・・・・」
拓馬が言う
「俺はドラムが叩けたらなんでもやるぞ」
栄太も続ける
「へぇ~」
ちなみに幸久は昔のように行けば拓馬と同じくサックスに入る予定である
「せっかくだから違うのにしようかな・・」
そんなことを考えていると広末、夢川ペアが来た
「あ・・・」と栄太が何かにきづいたようだ
「あ・・・」幸久は思い出した
この時点で栄太は広末に一目惚れするのを忘れていた
「やば・・・栄太・・・・・」
広末もどうやら思い出したようだ
「どうかしたの?」夢川が広末に言う
「え?いやぁ、なんでもないよ」
苦笑いして返す
「あぁ!忘れ物しちゃった~、取って来るねさきいってまってて!!」
逃げた
逃げやがった
多分広末は嘘をついた
「え・・・」
一人残される夢川、おろおろしている
これはチャンスと思った幸久はすぐさま夢川を呼んだ
「おーい宏美~」
「あ・・・幸久・・くん」
彼女は駆け足でこちらにきた
「今日はありがとね」
「いえいえ」
何気ない会話が成立することに幸久は心の中で感動していた
「なんだよ幸久・・もう女友達でてたのかよ」
栄太が低い声で言う
「まぁな」
少しドヤ顔で応える
大人気ない
少し話していると広末が戻ってきた
戻ってきた広末はまず幸久の方をキッと睨んだ
広末は栄太を拒みたがるのだ
「あ~、琴音~こっちこっち~」
やられた・・という顔をしながら広末は幸久たちのほうへ向かってきた
幸久の隣に来た広末は小声でいった
「あとで覚えときなさいよ・・」
へいへいと返す幸久
「そうだ!」
夢川が言う
「2人に自己紹介まだだったよね」
「そういや」拓馬が言う
「夢川宏美です、よろしくお願いします、クラリネットしたいと思ってます!」
だるそうに広末が続ける
「広末琴音です・・・クラリネットやろうかと思っています」
「じゃぁ男子も!」
栄太が切り出す
「櫻井栄太です!ドラムやりたいです!!」
「吉川拓馬、サックス希望」
「幸久も一応やって」
夢川が笑いながら言う
「わかった」
「日向幸久・・・」
何しようか・・・迷うサックスもう3年やろうか・・・・・どうしようか、でもあの頃本当にサックスがやりたかったわけじゃなかったんだ、言えなかったあのときの気持ち
今は言えるよな
「クラリネット希望です!」
恥ずかしくって言えなかった、3年間後悔していた
今は大丈夫
「一緒だね」
夢川が笑って言う
「うん」
幸久も笑って応える
変われる、ときめきを感じた
「よぉーし、じゃぁ1年生入ってぇ」
音楽室から先輩らしき人がでてきた
2年のサックス担当の石倉雪穂先輩だ
「うはぁ~懐かしい」
音楽室に入った幸久は懐かしい気分になった
「こら、声大きい」
「すいません」
広末に注意される、おまえも思ってるだろうに・・・
「じゃぁ、パート言っていくからやりたいパートのときに手上げてくれる?、そしたらパートの先輩がきて連れてってくれるから」
「はい!」「はい!!」
返事をしたのは幸久と広末の2人だけだった
「いい・・・返事ね」
すこし苦笑いだ、これが普通でしょ?先輩
1年の中では笑っている奴もいた
「じゃ・・じゃぁ言っていくわよ、まずは金管から、トランペット...
順々にパートが言われ人数も減っていく
「じゃぁ次木管、クラリネット」
手を上げる幸久、広末、夢川、もう2人ほどいたが紹介はまた後々
「じゃぁこっち来て」
「はい」
連れて行かれた先には久しぶりに見るБ管のクラリネットが置かれてあった
「懐かしいなぁ」
広末が言う
注意してやろうかと思ったがあえてやめておいた
「えっと、クラリネット2年の玉城比奈です、よろしく」
いきなり始まる2年生の自己紹介
「よ、よろしくおねがいしまぁす」
声が低く音量が小さい1年生独特のあいさつ
「じゃぁ座って」
クラリネットのマウスピースが順番に渡されていく
「じゃぁこう・・口をこうやってぇ・・・」
やべ、可愛いなとか思いながらわかっているけど先輩の手順どうりにマウスピースをくわえる
「じゃ吹いてみて」
そういって吹き始める
しかしみんなは素人、簡単には鳴らない
「鳴らないよな、なんせ17年?ぶりだぜ??」
吹いてみる
ピィー・・・・
出る・・・まずい
まだ先輩にはきずかれてわないようだが
これは・・・吹けるッッツ!!
広末のほうをソォーっと見る、どうやら吹けるらしい、顔がとっても苦笑いだ
確か広末は自分のクラリネットを買って17年後でも趣味でまだ吹いていたらしい
吹けないはずがない
むしろこの学校で一番うまい可能性もある
アイ・コンタクトで話す
どうやら諦めようということらしい
ピィッーピィッーっとクラリネットのマウスピースの音が音楽室に響く
みんながこちらを向く
「す・・・すごい!、すごいよ・・えーっと」
「広末です」
「日向です」
多分あんなことが起こるだろうと予想した
ありがとうございました