01. 絶望
「残念ですが、当分激しい運動は避けて下さい。」
目の前が真っ白になった
もう何も聞こえない
「・・・え?なんて?」
意味わかんないよ
「梨花・・・。」
かすかに聞こえるお母さんの声
「先生!何でなの!?・・・嫌だよ!」
「梨花!止めなさい!先生が悪いんじゃないでしょう?」
そんなのわかってる
でも、理解できないよ
「当分」っていうのがどれくらいか私にはわかってる
1ヶ月や2ヶ月じゃない
1年?ううん、もっとかかるって事
「ありがとうございました・・・。」
お母さんがそう言って頭を軽く下げる
意識のない私を無理に連れて病院を後にする
私はまるで本当に魂が何処かへ行ってしまったように立ち尽くす
「梨花?」
かすかにお母さんの声が聞こえた
返事をする余裕などもちろん無い
「・・・大丈夫よ。梨花はまだ高校1年生だもの。
来年も、再来年もあるわ。諦めないで、頑張りましょう?」
そんなの 無理
あたしがケガしてる間、他の子はもっともっと強くなる
そんな子に、休んでる私が勝てるわけないじゃない
「・・・ね?だからこれから・・・」
「お母さん!」
お母さんの言葉をさえぎって叫んだ
「私、バドミントン辞める・・・。」
「!?・・・梨花!あなた本当にそれでいいの?
あんなにバドミントンが好きだったじゃない!
それにあんなに一生懸命練習して・・・」
「いいの!・・・いいの・・・もう 決めたの・・・。」
ううん、よくない
辞めたくない
まだやりたい
「・・・本当に、それでいいの?」
「・・・うん。」
16歳夏-私は大好きなバドミントンを辞めた