初めてのarticulation・5・
それは、突然起こった出来事…
と言っていいのだろうか、今でも迷っている。
あの日の私は、ちょとだけ普通じゃなかった。
初めて他人という血の繋がっていない人が、自分を見たらどんな反応をするというのをよく分かっていた筈なのに、身をもって理解したばかりで、酷く落ち込んでいて、一人で過ごす時間が多かった。
プラナスだってハマメリスだって私の事を心配してくれていたにもかかわらず、その事さえも気が付かず、何もかもがどうでもよくなりかけていた。
そんな時だった。
一人でとぼとぼと廊下を歩いていた。
次の授業さえも煩わしくて、このままサボってしまおうかと、何があっても休むのだけはやめようと入学する時にたてていた目標を早くも破ろうと考えていた矢先、急に後ろから腕を引かれた。
「わわわっ」
予想だにしないその動きに、吃驚する間もなく、そのまま後ろに倒れそうになったけど、すぐに何かに当たって倒れる事はなかった。けれど…
「いたわ、おい、急げ」
何を急ぐのかがよくわからなかったけど、「いたわ」とは私の事を指しているんだと漠然と思った、けれど、「おい、急げ」って何を急ぐ事があるのだろう…
私を監禁しても仕方がない、私が目障りだと思っている人はいくらでもいるとは思うけど、監禁されてしまうほど目障りだと思われているとは思わなかった。
落ち込んでいるのに、その事が新たなショックを生んで、益々落ち込んでしまっていた時、「今だ」という誰かの言葉を私は聞き逃してしまっていた。
気が付いたら、すべてが終わっちゃっていたのだ。
私と誰だか分からない、いや、学園内いろんな意味で一番有名な人とのパートナーになる儀式がすっかり終わっちゃっていたのだ…
私達は一人では魔法を使う事が出来ない。
お祖母ちゃんの国は一人で魔法を使えるんだけど、私の住んでいるこのプルトニー国では二人で対になって魔法を使う。
だから魔法使いの素質がある人達はパートナーが必要になるのだ。
そして大抵、学園でパートナーを探すのが常なんだそう。
それを考えると、入学するずいぶん前からパートナーになったベルゲニアとプラナスは、早い方なのだ。
で、稀にパートナーが探し出せなかったりする人がいるらしいんだけど、それでも授業は受けられるから、そんなに困った事はないんだそう。
それはカプセラ先生の体験談、早く言えばカプセラ先生は学生の時にパートナーを探せなかったそうなのだ。
その後、パートナーは見つけ出せたんだって言っていたけど、どうやって探し出せたかは教えてくれなかった。
だから私みたいな、どうひっくり返ってもパートナーを探し出せないような人にでも優しい学園で本当に良かった、と思っていたのに…