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初めてのarticulation・4・


 学生生活は、まずまずだった。

 あの人が出てくるまでは。


 皆に相手にされる事は、ベルゲニアとプラナス以外ないと思っていたのに、ハマメリスという友人が出来た。

 それだけで十分だった。


 なのに、どこをどう間違ったのか…



 先生に呼ばれて用事を済ませて、すぐに裏庭に向かう。

 呼ばれたカプセラ先生は私に友好的な先生の一人。だから快く話が出来たし、後味悪くなく物事が終わった。

 仕方がない事だけど、先生の中でも数人の人が私の事が気に入らない先生がいる。

 表立ってどうのこうの言わないだけで、その態度は明確だ。

「一応は一生徒として扱っているんだから、よしとしようじゃないか」

 とカプセラ先生が言ってくれた。

 私の事を良く思わない先生に率先して猛抗議してくれているのはカプセラ先生だ。

 一生懸命してくれる先生の言葉だから素直に「はい」って言っておいた。


 裏庭に向う時に誰にも会わないように気を付けていた。

 私は目立つから、周りに気をつけてこそこそと人の少ないところを選んで進む。

 それもこれも訳あってなんだけど…

 今日はこのまま大人しく終わるだろうと思いながら、先を急いだ。



「ごめんね、遅くなって」

 目的地にたどり着いて、真っ先に謝る。

「走ってこなくてもいいのに」

 プラナスが私に座るように促してくれる。

「まずは落ち着け」

 そう言うと、ベルゲニアは、冷たいお茶を差し出してくれる。

「ありがとう」

 私は受け取って一気に飲み干した。


「どうやら、まいてきたようだな」

 ベルゲニアはにやりと笑う。

「まいたわけじゃないよ、見つからなかっただけだもん」

 こっそりひっそり来たんだもん。

「一緒よ、一緒」

 プラナスもニヤニヤ笑っている。

「そうやって『あの人』を無碍に出来るのはお前だけだよ」

 マジ、おもしれーよな、と人事なことを言いつつ、お弁当を広げ始めた。


『あの人』の事は、あまり説明したくない。


 ひっそりとはいかないと思っていた学生生活、でもそこそこおとなしく普通に過ごしていけると思っていた。

 なのに、どうしてそうなったのか、『あの人』が現れて、私の計画が大人しく普通に過ごしていけるはずだった学生生活が…

 音を立てて崩れた…



 私は、一番のお気に入りである大木に背を預け目を閉じる。

 この木は、私の気持ちをいつもやさしくしてくれる。

 嫌な事があっても、やさしい空気で包んでくれる。

 お母さんと言うよりお祖母ちゃんに近い、存在である大木だ。


 こうやって定期的にここに癒されにれに来なければならないぐらい弱っているのは、大多数が『あの人』の所為だったりするのだ。



「よう、いい身分だな」


 まさか、まさかね…

 そんな事ない、と思っても、空耳にしたいけれど、目を開けちゃいけないって私の中の何かが警告しているんだけど…

 恐る恐る目を開けると、そこには『あの人』が意地悪く笑っていた…





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