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初めてのarticulation・1・


 世の中どうしようもないことがある。

 というのがある事ぐらいわかっている。


 だからってこんな事でわからせなくたっていいと思わない?

 って神様に言いたい、訴えてみたい。


 …毎日訴えているけどさ。



 朝は強い方じゃないけれど、弱いって訳じゃない。

 すっきり目覚めるほうだと思う。

 だけど、すっきり目覚めたことがない。ここ何日…

 ぶっちゃけ、この学園に来てからすっきり目覚めた事がない。

 仕方がないよ、と友達には哀れみの視線と同情の言葉をくれるけど、まったく知らない人には、妬み…嫉妬としか思えない視線と、羨望の眼差し、後は物珍しい物を見るような視線、そればかりで、ほとほと疲れた。

 入学して数日だっていうのに、もう数年ほと歳を取った気分。

 数ヶ月前は穏やかでのどかな森の中で過ごしていたというのに…


 ぼんやりとしている私を、いつものように友達に急かされて、朝ごはんを摂る為に食堂に向かう。


「いつものパワーがないわね…此処に来てからは」

 呆れたような、それでいて哀れんでいるような、そんな表情を私に向けて、パンを口に運ぶ友達、プラナスは私の数少ないというか、ほとんどいない友達の一人。

「いつものパワーって…そんなものあるの?」

 私は持ったスプーンをスープの中に突っ込んだまま、ため息をついた。

「リコリス、といえば、野生のパワーよ」

 何が野生のパワーだ、自分だって田舎者の部類に入るくせに…

 でも私のほうがもっと田舎に、いや森の中に暮らしていたのだから、言い返せるものではない。

「お昼、一緒に摂れるといいけど…何か言われてるの?」

 何か言われてはいないけど…

「たまには裏庭で摂りたいのよね…ベルゲニアと一緒だけど、どう?」

 ベルゲニア、とは私の従兄弟でありプラナスのパートナー。

 そういえば、最近ベルゲニアと話をしていない。

 彼の話はプラナスから耳にタコが出来るぐらい聞いているから、近況は知っているけど。

 …なんか変な感じだ。

「あー、うん、今日は無視する。たまにはのんびりしたい」

 朝からそんなことを言っていては先が思いやられるけど、でもそうしなきゃやっていられないのだ。

 無視できるかは、さておいてだけど…

 朝起きてそんなに時間も経っていないのに私は今日、何度目かのため息をついた。


 私は、リコリス・ラディアタ


 バレリアン魔術学校に入学したばかりの、ぴかぴかの一年生だ。

 ダメモトで、受けた試験が、と言ってもたいした試験はなく、いわゆる基本的な薬学、私にとっては毎日見てき薬草の名前だとか効能だとか基本的なものと、魔法使いとして適格であるかという…何て言ったっけ?…まぁ適合するかどうかの面接だけだった。

 そんな試験だけで、かの有名なバレリアン魔術学校に入学できるなんて思いもよらず…

 そして面接があると聞いた時点でもう駄目だ、と思って諦めていたのに…

 何故か受かってしまったのだ。


「リ、リコリス、カプセラ先生がお呼びよっ」

 背後から、多分同じクラスの子が話しかけてきた。

 私が振り返ると、もうすでにそこにはいず、はるか遠くを走る後姿だけ。


 そこまで嫌がらなくてもね…


 最初の頃も、ため息の理由の一つ。

 私の周り、いや、私とプラナスの周りには誰もいない。

 それは私の所為なのだ。


ブログに宙ぶらりんにしておくのが心苦しくこちらでひっそり(?)始めてみました。

かなり時間がかかると思いますが、ナマヌルク見守っていただけると嬉しいです。

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