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夢は叶えるもの!実行せよ乙女

少女よ集え。夢を目指す仲間となれ。

第一章

挿絵(By みてみん)

「はじまりは、潮風の中で」


 潮の匂いが、制服の袖にまとわりつく。


 三崎中学校は、海のすぐそばにあった。

かつては賑わっていた漁港も、今では朝と夕方に少し活気が戻るだけで、昼間は静まり返っている。


 生徒数も、同じだった。


「また転校だって」


 教室の隅で、誰かが小声で言った。


 円満マルマは、その言葉を聞きながら、窓の外の海を見つめていた。


(減ってくなぁ……どんどん)


 理由は、わかっている。

私立の青蓮富士中学。無償化の影響で人気が一気に集まり、町の子どもたちはそっちへ流れていった。


 結果、三崎中は“残った人たちの学校”みたいな空気になっている。


 でも――


「ねえ、東條」


 円満はくるっと振り返った。


「アイドル、やろうよ」


「……は?」


 東條は、手に持っていた教科書を落としかけた。


「いやいやいや、急すぎない?」


「だってさ、このままじゃつまんないじゃん」


 アキハは立ち上がって、教室の真ん中に出た。


「どうせならさ、ここからスターになればよくない?」


「ここからって……この学校から?」


「そう!」


 迷いのない笑顔だった。


 東條はしばらく黙っていたが、やがてため息をつく。


「……本気?」


「超本気」


「……」


「動画もやる。歌って、踊って、演技もして」


「盛りすぎ」


「全部できるアイドル、かっこいいじゃん」


 少しの沈黙。



「それに、東條すっごいダンス上手じゃん!

タップダンス? あんなのこの辺で習ってるの東條だけだよ!」



「そんな事....」


円満マルマの瞳がグッと寄った、その圧は押し潰す勢いで、 その瞳にノーと言えなかった。


 それから東條は、観念したように笑った。


「……バレエ。社交ダンス」


「!?」


「私のできる事!歌は苦手....背は結構高いからスタイルはいい方だと思う...!」


「ほんと!?」

「それやるって事だよね!」


「どうせ断っても引かないでしょ」


--------------------------------------------------

 円満マルマと私(東條)は幼稚園からの仲だ。

円満は昔と何も変わらない、活発で少しおバカでいい奴。 この突拍子のない相談と言うか宣言も慣れっこだった。 だから私は乗ったんだ。

乗っかったんだ彼女の夢に。


 こうして、“スクールミュージカルアイドル部(仮)”は、たった二人で始まった。



 最初に声をかけたのは、神社の娘だった。


「無理」


 間凪カンナギは即答した。


「ええ!?即答!?」


「だって目立つの嫌だし」

挿絵(By みてみん)

「でも歌うまいじゃん!」


「それとこれとは別」


 境内の掃除をしながら、間凪はほうきを動かし続ける。


 円満はその前に立ちはだかった。


「お願い!一緒にスターになろうよ!」


「ならない」


「世界、変えられるかもよ!?」


「変えない」


「……」


 東條が小さくつぶやく。


「これ、無理なやつじゃない?」


同じく円満マルマも振り返って呟く。


「アイドルは神事なの!お客様を癒す舞に神を宿す。それがアイドル!」(小声の最大音量)


「こんな美少女でしかも神主の娘だよ!絶対諦めない!!」



「じゃあ、 あんたのやり方じゃダメ。」


「目立ちたくない子ってのはそれなりの誘い文句があるの。..」


次の日

給食前の2階廊下---------


教室から出た間凪がそそくさと放送室に入っていく


「ほら、間凪さんは放送委員なの円満も聞いた事あるでしょ、彼女のお昼の放送.....」


「これって......!!!」


「間凪さん...興味ない訳じゃないと思うよ」


「誘い方、考えないとね.....」



 三日後。


「……週一なら」


「やったあああ!!」


「でも!条件は覚えておいてくださいね....」


円満と東條はにんまり笑う。


「よし!一緒に帰ろ!」



東條は放課後ダンスのレッスンに行くために隣町行きのバスに乗る。


円満と間凪は早速動画のネタだしとカンペ作りをすると息巻いていた。


ネタだしのために2人が選んだのは港町の食堂だった


「いらっしゃせー」

優しい声が聞こえた 食堂は放課後の時間はがらんとしていた。


「何にするんですか?」

間凪がよそよそしく注文を聞いてきた。


「もー!何で敬語なの?!」可愛すぎでしょ!


「わっ私は交友関係に不慣れで...」


きょどる間凪を気づけば撫でていた。


コロン 氷の溶ける音と同時にコップが二つテーブルに置かれた。

「ご注文は?」

スッと切るような声に2人とも姿勢を正す。


 「あっ!秋葉!!!」


間凪もメニュー表を盾にその少女を見る

灰色の髪をおさげにした色白の少女はどこか異国感があった。


「紹介するね! 私の親友!三崎食堂の秋葉だよ!」


親友...ゴクリ (憧れる間凪)


「東條さんともお知り合いなんですか?」


「そっ小学校からの面子でさ」

「東條もしっかり者だけど秋葉はもっとしっかり者なんだ!」

 

「それでアイドル部に誘うために来たんですね!」



「えっと、 アイドル部?」秋葉


「....」

秋葉に向いた視線を円満マルマに移すと黒目が回りそうな勢いで目を泳がせる円満がいた。


「あんた、またそんな事言ってんの?」


「親父さんもおばさんも漁港で頑張ってるんだから、あんたは勉強頑張んなきゃでしょ」


「それに東條の所は習い事行って芸能に近いかもだけど、私と円満マルマはレッスンなんて受けた事無いんだから一緒にしたら失礼でしょ」


「うるさい...

 そうやってずっとここにいればいいよ」


円満は食堂を飛び出した。


残ったのは震える間凪と秋葉 


秋葉は間凪の正面に座った。


唇がとんがりぷるぷると全身が震える間凪を見て秋葉は優しく頭を撫でた。

------------------------------------------


アキハが苦笑する。


 でもその横顔は、少しだけ揺れていた。




(このまま、ここで生きてくと思ってた)


 間凪を見送り、店の前で立ち止まる。


 “食堂 秋葉”の看板。


 中では母が忙しそうに動いている。


(それでいいって、思ってたのに)


「アキハー!手伝ってー!」


「はーい!」


 返事をして中に入る。


 いつも通りの風景。


 でも、さっきの言葉が頭から離れない。


「そうやってずっとここにいればいいよ」


(……行くの?外に...私を置いて....)


 胸の奥が、苦しくなった。



------------------------------------------------------------------



 三崎中の有名人。二年生の張本(ハリモト)は、最初から興味を示した。


「面白そうじゃん」


「え、軽っ」


「どうせこの学校、このままだと終わるし」


 そう言って笑うその顔には、どこか冷めたものがあった。

声楽のコンクール,ダンス,いくつものコンテストに入賞されていると噂で、派手なイメージの怖い先輩だったが。みんなが言う程の異端児ではなさそうだ。


円満は東堂と間凪、そして張本を連れ、一行は生徒会に部活設立許可証を受け取りに来た。



 挿絵(By みてみん)

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