その93
一応そういう売り物にならない傷のある魚やらは、無料で回収して俺が使った釣り餌や最近始めた養殖魚の餌…それに畑の肥料やらに加工されていくそうだ。無駄にはなっていないようで安心したぜ。
「餌にする限度はあるだろうがよ」
「まぁな。アレらが持ってくる魚たちに比べて、お前さんが持ってきたのは鮮度が違い過ぎるわ」
「そら血を抜いて更には痛まんように氷で締めてあるからな」
当たり前のように比較にならんだろうよ。せめてバケツやらで海水を入れておけば良いものを、それさえもせずに漁港やらの床に放っておいての野締めだからなぁ……しかもこのオヤジが他の加工場の作業員に聞いたところによると、そいつらは魔石ガチャって言いながら大量に運んでくることもあるそうだ。
「確か小型魔魚にはたまに魔石が入ってくることがあるんだっけか」
依頼の豆鯵が乗った木箱はオヤジに渡して処理をしてもらう傍らで、俺もバケツを取り出して中に入った鰯や残った豆鰺の処理をしながら話を続ける。ガチャねぇ…完全にゲーム脳って感じだ。
「おう、前に言ったみてえに生き物だから狙っては釣れんがな。あっちの受付の話によりゃ、粗悪な数ばかり釣ってくる奴に限って魔石は入ってたのか確認するそうだ」
「入ってねえ場合騒ぎ立てるやつが出てきそうな感じがすんな」
「ご名答!正しくそういうのが何人か居たらしいぜ!」
クレーマー気質というか、ただのガチャに染まり切った人間というか…確かに魔石があれば最低でも1000ミールにはなるが、んな大量に持ってきたら手数料でほぼ収支にならん気がするぞ。
「……んん?今”居た”って言ったか?」
「言ったな」
「過去形なのはどういうことだ?」
「そらそういうアホみたいな事をしまくるやつをギルドに残しておいても意味ねぇから、そいつらは除名されたんだよ」
「クビってことか」
「有り体に言えばそうだ」
ギルドからクビになるって結構な大問題なんじゃ……この町で魚を売るってなったらこのギルドを通すのが基本だから稼ぎが出来ん。それにそいつらは魔魚用の釣り具じゃないのにガチャだ何だと言って何度も釣るから、その内道具が壊れる……ただその壊れた道具を買うのはギルドの道具屋だ。何もできなくねぇか?
「そいつらは生活できてんのかね」
「どうだかな…今日の昼ぐらいから五月蠅い奴らがいるってのは聞いたが、大方そいつらだったりしてな。っとこっちはもう終わったぜ」
「あいよ、俺はまだ大量にあるんで先に査定を頼むわ」
ちっこいイワシや鯵は頭や鰓をつかんで引けば内臓も取れるんだが、数が数でな…
簡単だけど、やはり数は強い。
ブックマークや評価を頂けると嬉しいです!




