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その9

 ギルネットに引っ張られながらも道を歩くこと少し

「…ここまでくりゃ大丈夫か?」

 とようやく腕を離してくれた。


「ったく何度かこけそうになったぞ」

「すまんすまん!あのまま捕まったら水産ギルドに連れていくどころの話じゃなくなってたんでな!」

 多分説教されている間に余計なことを口走ってドンドン伸びていくんだろうな。

「言動には気を付けるこったな」

「毎回身に染みてるぜ…アイツ俺が言った時だけ説教が長いのどうにかならんかねぇ」

 惚けか?と思いギルネットの顔確認するが、そこには苦い顔をした無精髭の男が見えるのみ…なるほど。あの姉ちゃん苦労してそうだな。


「労いの言葉でもかけて飯にでも誘ったらどうだ?」

「いっつも飯は食ってるぜ?漁が終わったら船員のやつらとドンチャンすんだよ!ゴンゾのおっちゃんもどうよ?」

「俺は外界人なんで時間が合えばな…そうじゃなくてあの姉ちゃんと2人きりで飯をしろってこった」

「2人きりで?そりゃまたどうして」

 うん、こりゃ相当クソボケだな。




 漁船の財布を握ってんだから、儲けだったりで他の船員がいる中で話しにくいこともあるだろと言うと、そんなもんかと納得し近いうちに誘ってみるかと結論を出していた。頑張れよ苦労娘。


 その後港を抜け、さらに市場のような場所を通り抜けると特徴的な建物が見えてきた。

「ここが水産ギルドだ!まさにって感じがするだろ?」

「まぁそうだな。ここまで主張が強けりゃ誰も他のギルドだとは思わねぇだろうさ」

 看板に<ウェルン水産ギルト>と書かれてはいるが、それ以上に周りに飾られている数々の貝や巨大な魚の骨が目に入りこんでくる。更に建物の頂点には巨大な釣り竿が携えてあり、金属製であろうリールが光を反射してキラリと輝く。


「この建物を覆うように打ち込んであるのは魚網か?随分とデカいが」

「コイツはここのギルドを作った当時のギルドマスターが、近辺を荒らしてる海竜を取っ捕まえた時の網らしいぞ!」

「とんでもねぇ逸話が残ってんだな…もう入ってもいいのか?」

「おうよ!ここの扉を開けて入ったら誰もが兄弟よ…不届きものは藻屑になるけどな!」

「そうはならねぇように気を付けるとすっか」

 そういってギルドに続く両開きのドアを開けようと近づいていくと

 ”…!…!!?”


「なんだ?やけに騒がしくなったような」

「あー、ゴンゾのおっちゃん。ドアから離れた方がいいかもしれんぞ」

「そうか?」

 バァン!

「うおっと!」

「フベッ!?」

 ギルネットの忠告どおりドアから少し離れると、頭から獣耳を生やした少年がドアから吹っ飛んで目の前に落ちてきた。


「いっつつ…何しやがる!?ただの能無しNPCのくせに!」

 こちらのことは頭に血がのぼり全く見えていないらしく、すぐに起き上がると怒り狂ったかのようにドアを開きまたギルドの中に入って行った。

 ドンッ!

「フグッ!?」

 またもや同じような動きでドアが開き少年が飛び出してくる。

 ――なるほど、早速藻屑対象が現れたな。


簡単に言えばいちゃもん客。


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