その8
魚を指さしたことにより目的が分かったのか、飛び切りのいい笑顔で
「水産ギルドに用ってわけか!なら道案内じゃなくてこのまま一緒に行こうじゃねぇか!」
「良いのか?」
「おうよ!つーか荷運びが終わり次第報告に行く予定だったんでな。恩人も送り届けられて一刺二魚だぜ!」
なんだそら?一石二鳥ってことなんだろうが、微妙に言いにくいぞ。
”兄貴ーやっぱそれ分かりにくいですって!”
「何だと!?漁師にとっちゃ鳥よりも魚だろうが!」
お前が考えた言葉だったのかよ…確かに漁師からすりゃ鳥は魚掠め取っていく敵なんだろうが。いや、魚が溜まる場所は海鳥が集まってるから分かんだろうしそうとも言えんのか?
「あー…その話はあとでやってくれや。一緒に行くことに関しちゃ道を示されていくより楽だから助かるぜ」
教えてくれたは良いものの、実際は小道があったり手前に同じ構造があったりでややこしいってのはそれなりにある事だからな。
「んじゃ決まりだな。おめぇら!今からゴンゾのおっちゃん連れて水産ギルドに荷揚げの報告行ってくっから後の作業は頼んだぞー!」
”あいよギルの兄貴ー!”
「ついでに手伝いに来た人手に報酬払って記録しとけよー!」
”……姉さんたのんます!”
”全く。手伝ってくれた奴らはこっち来てくれー!”
威勢のいい声を発したと思ったら、荷揚げの量を記録していた日焼けした褐色肌の女性に頭を下げる船員たち。
「あれでいいのか」
「基本うちの財布握ってんのはアイツだからなぁ…あれでもう少し可愛げがありゃ――おっと、睨まれる前に行くぞ!」
「おい引っ張んなって!ドワーフの歩幅考えやがれ!」
余計な一言を言ったと感じたのか、急いでゴンゾの腕を掴みギルネット船長はその場を離れていく。
”聞こえてんよギル!”
すたこらさっさと逃げるギルネットを怒ったように見つめる姉貴を眺めながら、船員たちはコソコソと話し始める。
「ありゃ戻ってきたら説教だろうな」
「正直痴話げんかにしか見えねよなぁ…」
「市場の奴らからなんか、もうとっくにくっついてるって話になってるぜ?」
「姉さん変な所で奥手だからギルの兄貴が気づいてねぇのがな…」
”あんたらも聞こえてるよ!?”
「「……うし!作業の続きだ!」」
今日も港は平和である。
姉さんはしごでき恋ポン。
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