その73
「そう言えばこちらまで来ていたということは、報酬が出終わったのですか?」
店の中から首だけを出した状態を維持したままそう言ってくるリール。何でそのままの態勢なんだよ…あんま気にしない方がいいか。
「おう、大分いい収入になったんで買えるだけ買わせてもらうぞ」
「かしこまりました!ささっ、どうぞ店内へ」
促されるまま道具屋に入店し、そのまま魔魚用の道具が並ぶ棚に向かう。あーっと、まず手に取るべきなのはグローブだな。25000ミールはでかいが手を保護するのは重要だからな……
「そういや良くグローブは無事だったよな」
考えてみりゃ手釣りでやってんだからダイレクトに衝撃やらを受けていたってのに壊れちゃいない。そんぐらい丈夫だってのは分かるんだが、仮にも魔魚とのファイトをしたわけなんだからもうちょいダメージが入っていても良いはずじゃねぇか?
「あー、それはですね…グローブって魔魚を締める際に直接触れる時に効果を発揮するようでして。この辺りのだと釣り上げた後にまで魔力が残る程の魔魚はいないんですよね」
「つまりあんま意味ないのか?」
「ですねぇ…でも沖に出たりするときや他の地域ではあった方がいいですよ!カニ取りとかでは必須品ですので!」
ほうほう…つまりあれか?魔魚ってのは直接触れていたりするもんに影響を与えるって感じなのか。ただそうなると間接的なロッドやリールがぶっ壊れるのはどういうことなんだ…良くわからん。
「まぁ買っておいて損はないのならいいか」
「まいどありです!」
「そうだ、ついでに聞いておきたいんだが」
「何でしょうか?」
「レンタルのグローブに傷が入っちまってんだが大丈夫かね…これなんだが」
そう言って磯でのファイトに貢献してくれたグローブを取り出して、リールに見せる。
「ここですかね?」
「ああ、魔魚とのファイトの時に強く引かれちまってな」
「う~~ん…少し大きい傷ですが、これぐらいの傷なら修繕できますし大丈夫だと思いますよ。ただ珍しい傷の付き方なので倉庫番の方に話は聞かれると思います」
なら良かった…ただまぁグローブにも魔魚の影響があったと考えた方がいいなこりゃ。
「そんぐらいは仕方ねぇな。にしても珍しい傷か、これ?」
「そりゃそうですとも!このギルドに居て手釣りなんて言う奇と…珍しい釣りをする方なんて初めて出会いましたもの!」
「そうかそうか…せっかくギルネットにデートの場所を決めさせたってのに聞きたくないか」
「すみませんもう言いません!ゴンゾさんは最高のお方です!」
ったく、調子のいい奴め……珍しいってのは否定できんがよ。
奇特というよりは変人。
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