その69
ブルッブルルル…
……気のせいじゃなければ、この木片震えてんな?流石にまだ腕が振るえるような歳じゃねぇし、エールを飲んだから酔ったとかでもないはずだ。
”おじき。それ番号のところ触ると止まりますぜ”
「こうか?」
船員の1人に言われたとおりに、青丸に囲われた番号の部分に触れると震えが収まった。成程、フードコートやらにある呼び出しベルみたいなもんだなこれ?予想外の査定終了の合図だぜ……思いっきり現代風の呼び出し方をするとは思わなかったわ。まぁこっちのほうが俺たちにとってもわかりやすいし助かるけどよ。
「これは査定が終わったってことで良いのか?」
”ですね”
”いい値段がついていたらいいっすね!”
「そうだと嬉しいがな」
さて、終わったんなら報酬を受け取りに行くとすっか。今回の金によって俺の今後が決まるからな!せめて初期投資したラインや仕掛けの鐘が回収できれば良いんだが。
「っと姉ちゃん、代金はいいんだったよな?」
’そうだね!後はこれを受け取りな!’
近くにいた店員の姉ちゃんに一応確認すると、渡されたのはまたもや木片。なんだこのギルドは木片を渡すのが流行ってんのか?
「こりゃ何だ」
’この酒場のスペシャルメニューが食えるチケットさ。一人前になったやつには必ず渡すようになってるんだよ!’
ほうほう、こりゃまた酒場に来る楽しみが増えちまったな。こっちならどんだけ食っても太るこたなぁないし通うのもありだな…まずはその資金を手に入れるのが先か。
「なら有り難く受け取っとくわ」
’そうしときな!外界人でこれを受け取るのはこのギルドじゃ初だから誇っていいよ!’
「んなもん誇っても仕方ねぇだろ」
やっと一人前になれたってだけだからな。寧ろそうなれたのが2週間たってんのに初だってんのを恥じた方がいいと思うんだが……別に難しいことでもないだろうしよ。
’それもそうかもしれないねぇ’
「だろ?…ま、一人前として恥ずかしくないように今度はちゃんと金を持ってくるわ」
’あいよ!うまいもんを用意しておくよ!’
「そうしてくれ」
”””ご武運を!”””
「お前らはもう少し挨拶を考えろ」
”””へいおじき!”””
「……行ってくる」
もうこいつらの反応は諦めよう。
時には諦めも肝心…もう船員たちには染みついてしまっているので。
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