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その68

「うおっ!?…なんだてめえら!見世物じゃねぇぞ!」

 驚いたギルネットが空になったエールジョッキを持ちながら腕を振るって野次馬どもを散らしだした。こんなに集まってたのに気が付いてなかったのかよ…同じギルドのやつらだからって油断しすぎだろ。

 ’良いじゃねぇか減るもんじゃあるまいし’

 ’それよりもがんばれよギルネット!’

 ’ようやくシキルちゃんが報われんのかぁ…’

 ’これで見守りも終わりか’


「頑張る?報われる?……やっぱ仕事で負担になりすぎてることがあんのか。こりゃきちんと聞いておかねぇとな!」

 違うそうじゃない。いや違わない部分はあるんだろうが…つかやっぱり他のギルドの奴らもきちんと気づいたうえで放っておいたのか。それともシキルの嬢ちゃんかリールやらに何か言われていたとか。ギルネットに笑顔で逆サムズアップするようなやつだし、あいつならあり得るか?

 ’……まだ気づいてないのかこの唐変木は’

 ’おいたわしやシキルちゃん。こんなニブチンを好いてしまったから’

 ’やっぱこの馬鹿じゃ無理だって!’

 ’爆ぜろこのクソ脳筋!’

 ’そうだそうだ!もう一回カジキにカード割られちまえ!’


 熱烈な言葉が投げかけられてんなぁ。酒飲んで気分が上がってるのもあるだろうが、そんなにいい言葉を投げかけて大丈夫かね?

「おーおー、お前ら嬉しい言葉をくれるじゃねぇの――一発殴らせろや!」

 ’’’望むところだこのボケナスギルネット!’’’

 やっぱこうなるよな。んで間違いなく一発で済まないだろうよ。


 バンッ!

 ’あんたら!酒場で暴れたらどうなるか…ちゃんと覚えているだろうね?’

「……外行くぞ外!続きはそこでやんぞ!」

 ’’’お、おう!’’’

 一触即発の雰囲気だったというのに、カウンターで手を叩いた酒場のおば…いや姉ちゃんに睨まれると、ギルネットと煽っていた野次馬の何人かがそそくさと代金を置いて外に行っちまった。やっぱどの世界でも酒場の姉ちゃんは強いんだな…んであいつらただ単に騒ぎたいだけなんじゃないだろうか?律儀に金置いていく冷静さあるし。


「お前らは行かなくていいのか?」

 ”へい!巻き込まれると大変ですんで!”

 ”付き合いの長い同士のじゃれあいみたいなもんですから”

 ”定期的な催しみたいなもんでさぁ”

「問題ないならいいんだが…ん?」

 なら俺も気にする必要はないかと残ったエールとエスカベッシュを頂こうとした所、加工場で受け取った木片に青色の丸が浮かび上がった。

じゃれあいでギルドが壊れる。


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