その62
リールがこちらに何かを伝えてこようとしているようだが、いったい何を伝えようとしているのかが良くわからん。邪険にしている感じではねぇし…
「そうね。ギルドカードでも支払いはできるだろうけど、上限を低くしてあるし…そもそも今は再発行中だから仮カードで出来ないだろうし」
「うーん、ギルネットは一体どうするつもりなのかな」
「分からないわ。今はそこの酒場で船員と飲んでるはずだけど…」
「成程成程」
チラッ
もう一度こちらを見てきた…見てきたタイミングはレストランとギルネットの居場所……あー、成程。あれの情報が使えるってわけか?んでそれをギルネットに伝えて旨い事調整しろと。
「明日も仕事があるはずだから、しょ食事をするとしたら明後日になるのかしら」
「ほうほう」
「……」
コクコク
「となると予行練習の時間とかはなさそうだ。せめておめかしとかはするんだよ?」
「え、ええ。この時のためにお化粧とかを教えてもらったんだもの!」
試しにカウンター角のすぐ近くの棚を見るふりをして後ろ手にブツを出してみたが、会話の間にそれに目を合わせたリールがバレない様に小さく頷いてきた。タイミング的にも状況に対してうなずいただけみたいに見えるし上手いもんだ…よし、そうと決まったならこれ以上ここにいても誰かさんからの甘いオーラを受け続けるだけになりそうなんで行ってきますかねっと。
「俺はそろそろお暇するぞ。査定終わりまでいようかと思ったが、あっちの騒がしい酒場も気になるんでね」
ブツを仕舞い、振り向きながら立ち上がってリールとシキルの嬢ちゃんに近づく。元々酒場自体は気になっていたんで嘘は言ってねえぞ?この運営のことだしぬるめのエールやらも準備していることだろう…人によるだろうが、香りや味を楽しむならキンキンよりも少し出して待った方が旨いこともあるもんよ。
「おおっとゴンゾさん。ほったらかしで申し訳ないです!」
「別に気にしねぇよ。元々値段を確認しに来た冷やかしだからな……シキルの嬢ちゃんはペルセベスを受け取るのを忘れんなよ?」
「はい!ありがとうございました…それとギルに道具屋の方にいると伝えてもらえますか?」
「あいよ」
あいつの事だから店のことを伝えたらそのままこっちにやって来そうだな。
そん時の反応を、今楽しそうな顔でこちらを見ているリールに聞くとするか。
恋愛相談に愉悦を感じるリール。どこかの麻婆豆腐好きの神父みたいな暗い愉悦ではないのでご安心を。
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