その57
中型、いや欲は言わないんで小型の中でも質が良いのが取れて欲しいと願いながら、オヤジ――ロインって名前らしい――に査定と加工を任せてギルドの中で待つことにした。
”おっしゃお前ら!魔魚用のナイフ持ってこい!”
”あいよ準備済みだぜ!”
”個人での中型なんざ久しぶりだな!”
”俺にもカメノテよこせよ!”
”ちゃんと金払えばな!”
……元気で何よりだわ。んで追加報酬ごちそうさん。
加工場の喧騒をよそにギルドへ繋がるドア前で殺菌用であろうマットを踏みしめてから中に戻り、忘れないうちに倉庫にてバケツを借りに行き中くらいのやつを選んでマジックバッグに入れてきた…試しに今借りているグローブが幾らすんのかと聞いてみたが、5000ミールだそうで鼻からダイヤモンドが垂れるところだったぜ。
「まぁエイの毒針すらも貫通しない特殊な加工をしてるそうだし、仕方がないが」
干潟の天敵であるエイの対策が出来るなんて最高の道具だ。何やら3層構造ぐらいにしているそうだが、詳しくは道具屋の店員に聞いてくれと言われたわ。あの店こんなのも売ってるんだな。
「この後見に行くだけしてみっかな」
もうちょい安いやつでいいから自分の物を手に入れておきたいし、冷やかしに行くのはありだ。ついでに依頼品の査定中ってのを伝えるかね。
ギルドのロビーに戻ってきたが、意外なほどに受付に向かう人が少ない…代わりに酒場の方に向かうやつが多いな。査定が終わるまでの間飲み食いをして待つって感じか。こういう施設に酒場がある理由が分かった気がすんな…それに帰ってきたやつらと話す交流の場にもなってんだろうよ。
「今まさに陽気な声が響いてるしな」
ま、俺はそんな場所に行くのは無理だけどな。200ミールあればナッツぐらいは食えるのかねぇ?
「いよっと、まだ店はやってるかい?」
道具屋に入ると、誰かと会話をしている店員のリールが見える。本らしきものを見ながら話してるし、今日の収入やらを計算でもしてんのか?
「あ、ゴンゾさん!いらっしゃいませ!基本日が暮れるまでは営業しているので大丈夫ですよー」
「なら良かった。根魚を釣ってきたんでその報告をしに来たぞ」
「本当ですか!少し不安だったんですけど無事に連れたようで何よりです」
「まぁ手釣りなんざかなり少数の奴しかやらねぇだろうしな。んでそこにいるのは放置でいいのか?」
こうして話してるってのにリールの後ろにいる奴が微動だにしていない。人形とかじゃないんだよな?
「大丈夫ですよー。ちょっと放心状態なだけなので……ギルネットさんに突然誘われたそうでして」
「ギルネットだぁ?…あぁ成程」
知り合い何で話に出てきたことを疑問に思いつつ、リールの後ろにいる奴を見て観たが――――そこには顔を真っ赤にしたシキルの嬢ちゃんが居た。
何で顔が真っ赤なんでしょうね。
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