その56
ハタとのファイトを思い返していくが本当にギリギリの戦いだった。そういう駆け引きがあるからこそ釣りは辞められねえんだがな。
「こいつがラインを光らせてくるもんだから最初は呆気に取られたりもしたんだぜ?」
「ラインが光るって…コイツ魔魚かよ!?とんでもねぇのをしょっぱなから持ってきやがったな」
「とんでもねぇって、何かやばいのか」
「いいんや、ここに初めて持ってくるってのにこんな良いのを持ってきたから驚いたのよ――こりゃ腕が鳴るぜ!」
てっきり魔魚を持ってくるのに何か必要なのかと思ったがやる気が出ただけかい。まぁ問題がないのならいいんだが。
「そんじゃあ後は任せるのでいいのか?」
「あー、いや。魔魚ってんなら魔石をどうするかは決めとかんとな」
「魔石?」
「紛いなりにも魚がモンスターになった奴らだからな。体内に魔石を持ってる奴らが多いんだよ」
ほうほう、ファンタジーなんだからゴブリンやらなんかが魔石を持ってるってのはなんとなく分かっていたんだが、魔魚にも存在しているとはな。
「仮にこのハタに魔石があったとしたら幾らになる?」
「そうだなぁ。このサイズならまず間違いなく小魔石はあんだろうし…安くても5000ミールってとこだな」
「随分いい値段だな?」
正直小魔石なんて言えばかなり安いもんだと思ったのに、俺たちプレイヤーの初期資金と同じぐらいで売れるのは驚きだ。こうなると初期資金が多いのか少ないのか分からなくなってきたが、もう使っちまってるし今更だな。
「魔魚の魔石ってのは基本的に水の属性で染まったやつなんだが、属性魔石ってのはそれなりに希少でな」
「だから小魔石でもその値段ってわけか」
「そういうこった。極小であろうとも1000ミールなんで小型魔魚でも運が良ければかなりいい報酬になったりするぞ」
成程?何で釣り具を壊しまくるプレイヤー共に資金があるのか疑問に思っていたんだが、小型魔魚の魔石で賄っていたわけか。普通の釣り具の方は安いのはマジで安いから何とかなるんだろう…それでも無駄に釣り具を消耗するのには納得いかんがな。
「となればこの後の豆鯵釣りでも小型が釣れる可能性があるか」
「ま、あんま期待しねぇ方がいいぞ。狙ってやると釣れないことが殆どだ」
おぅ……このゲームでも物欲センサーはしっかりと起動してやがるのか。昔やっていた化け物狩りのやつとかであと1つの素材が足らんかったりして、クエスト受けてもそれがまったく出てこないとかザラにあったんで勘弁してほしい。
「んでどうするよ」
「……買取で頼む」
頼むからこのハタからは良いのが剝ぎ取れてくれよ?
妖怪1足りないは良く現れます…
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