その41
「こいつで終わりか」
最後に尺越え――30センチを超えたやつのことだ――のベラを締め終わり、窪みに入れて他と同じように血抜きを行う。白身ばかりなんでそこまで出ないかと思ったが、意外と窪みの海水が赤くなったな…やっぱやっておいて損はないか。これが依頼報酬に響くかどうかは知らんがな!
「さてさて、このまま待つのもなんだし…やっぱもう一回ぐらいやっておくか?」
まだ潮が満ちるような動きはしてねぇし大丈夫だとは思うんだよ。これでまたチビカサゴが釣れでもしたら潔くあきらめてちょい上の場所で穴釣りを再開するってことでいいだろ…根魚は潮止まりの影響をあんま受けないから気楽にできるってのもある。
ギルマス依頼の豆鯵はどうすんだって?あれはなぁ…大丈夫だとは思うが下手すりゃ取り消しの可能性もあるわけだし、根魚を届けるついでにあの副ギルマスに聞くだけ聞いておきたい。ついでに堤防で狙いたいから備品でバケツやらも借りたいしな。
「餌はまだカメノテでいいか…飛ばしたいんで針を蔓脚の入った場所を通して外れんようにしてと。よし、行ってこい!」
気分ではあるが今までやっていた足元じゃなく少し遠い岩礁を狙うために、ブラクリを持って放り投げる。そこまで重くないんで少し放物線を描くだけで落ちたが、それでも今までと違う場所だ…魚種の変化があるかもしれん。
「つっても20メートルぐらいしか離れとらんしあんま変わらん可能性もあるがな」
するするとラインを下に流しこちらに近づく前に底に落としていくが、やはりこちらから見える岩礁帯は見た目より遠い場所にあるらしくラインスプールから追加で出しながら調整する。
コンッ
「お、もう底に着いたのか」
ただ予想よりも早い気もするな…意外とあの岩礁は浅いのか?
グイッ!ゴン!
「ぬおっ!?底に着いたんじゃねぇ!でけぇのが食らった反応かよ!」
まさかの寄せる前に掛かる食いしん坊がいるとはな!しかもこの逃げようとするたびに指に掛かるゴンと来る反動…間違いなく大物だ。
「ぜってぇ潜り込ませねぇぞ……にしても外見でドワーフにしたがめっちゃ役に立つじゃねぇか!」
器用が高いこの体のおかげで、何とか針からバレないように引っ張れている…ただ筋力も高いんで油断するとラインを切っちまいそうだが、それも器用で何とか両立できてる感じっぽいな――いよし!隙間から魚体が出てきたな。
グイッ!ググッ…
「岩場から抜けてから本気で藻掻き始めたか!悪いが逃がすつもりはねぇぞ!このまま…」
ボゥッ
「……なんだ?ラインが光り始めたぞ」
ヒント:店員に言われたこの磯場に出てくる魚種。
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