その39
流石その場の魚が食うものって感じだな。それにこのダイレクトに伝わる感覚は手釣りならではって感じでテンションが上がるわ!
「逃がさねぇように合わせて、このまま一気に抜き上げる!」
穴釣りじゃあ相手の引きを気にしていたら岩場に潜り込まれる…そんで岩でラインが擦られ、ブツっと切られておしまいよ!だからそうなる前にリールを巻いたりロッドを上げて逃げられんようにするが…今回はどっちも無いんでラインを大きく引っ張り上げるだけだ。
その後も逃げようと藻掻く振動を感じながらもラインを両手で交互に引いて手繰り寄せていく。結構奥まで行ったんで地味に時間がかかる……やっぱ木枠だけでもあった方がいいか?だが付与が無いもんだと魔魚が掛かった時にバキッといきそうで面倒だな。
「このラインスプールに巻くのは海水にまみれちまって傷みそうだし…お?」
海中からオレンジ色の小さなものが見え始めた――そのすぐ奥について暴れている魚も。
「さぁさぁ初の釣果は何になるかなっと!」
パシャン!
釣りあがり岩場でビチビチと跳ねる魚…20センチほどの大きさだが体高――魚だと腹鰭から背鰭までの長さって感じだ。まぁ種類によるが――はそこそこで腹回りが膨らんでいる。さらに唇が多少分厚く、この特徴のある尖った背鰭に白色の混じったまだら模様とくればだ。
「カサゴだなこりゃ…根魚の代表魚ってのが最初に来るのは幸先がいいな」
煮つけに唐揚げ、刺身にしても美味い最高の魚だ。昔から日本で人気のある魚だが、今の時代じゃあ纏まった数が取れんから結構な高級魚扱いなんだよな…といっても扱いのある鮮魚店だとそこまでではあるが。更に言えばフランスの漁師飯だったブイヤベースもカサゴが使われているって話だ。まぁ商品価値のないやつや売れ残ったのをぶち込んで煮込んだって感じだそうだが。
「これぐらいならキープでいいだろ。まだ生かしておきてぇし…そこに入れておくか」
お誂え向きにある海水が溜まった小さな窪みにカサゴを針から外し中に入れる。外に繋がる穴はねぇし一先ずの保管場所に出来るな。
「先ずは無事一匹と。この調子で潮止まりの間に依頼の5匹以上は釣っておきたいもんだ」
先程と同じようにカメノテを針に付け、カサゴの釣れた岩場の隙間にスルスルと入れ込んでいく。恐らく根魚が群がって棚になってるんで、二匹目のドジョウを狙っていく…ドジョウは淡水魚とか野暮なことは言うんじゃねぇぞ。
ピクピク…グイッ
「もう来たか!」
底まで落ちてさぁ棚合わせと思ったらまた入れ食いかい!一瞬俺の人差し指が痙攣でもしたのかと思ったぜ。
「ただやけに抵抗が弱い――
パチャンッ
「あー…リリースだな」
次に釣れたカサゴは10センチにも満たなかった。サイズがドジョウになるんじゃねぇよ……
口がでかいので、小さいのはエサ取りとしても有名。
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