その36
「ここまで貼り付いてるとそういう岩に見えてくるな」
やっぱ見た目が微妙なんだよなこいつら…味は確実に甲殻類の味なんだが。おい、何匹かで一斉に蔓脚――フジツボやカメノテの先端から出てくる触手みたいなもんだ――を出してくんな!その数で出されると俺でもぞわっと来るぜ……もう気にせず取るとすっか。
ガツッ!
「よっと…あん?根元が切れちまったか。もう少し力をゆっくりと入れた方が隙間のやつらは取れそうだな」
力があるってのが良いばかりじゃないのが実感できたぜ。取り敢えずこの切れちまったのは釣り餌にするとしてだ…おい、仕舞う時に<欠損>ってつけんな!間違っちゃいないし判別も付くからいいが文言が怖いわ!
「こっちは上手く取れたな。やっぱ隙間から成長した奴の方が身の成長がいい気がすんぞ?」
より栄養を確保するために伸びるからかもしれんが、そのお陰でこっちが食う時に可食部が増えるんなら有り難いこった…殻も出汁に利用するし無駄にならんしな。お、こっちの群生もいい具合じゃねぇか。
「よしよし、綺麗なのは両手で4杯分ぐらいは確保できたか?嬢ちゃんが言ってた倍の量だし一先ずこんなもんでいいだろ」
もし足らなかったらまた取りにくりゃ良いだけだしな。ただリアルでの潮の満ち引きは日毎に1時間ぐらいでずれるから、変態どもが作ったこのゲームだし気を付けんと満潮に当たって無駄足になりそうだ……間違いなく実装してやがるだろ。
「ついでに貼り付いていた場所に隠れていやがったゴカイも入手できたしホクホクだぜ」
こいつも見た目は微妙だが釣りにおいてはトップクラスの餌になるんだ……こう思うと岩壁に潜んでいるやつにまともな形のやつが居ねぇな。まぁ隠れやすいようにだったり自分の飯の確保のために進化したんだから当たり前か。
「さぁて、後は…この黒い貝でも採取したら釣りにすっか」
カサガイ取りの時から細長い団扇のような形をしているこの貝が目に入って仕方がなかったんだ…なんならカメノテの隣に貼り付いていたりすっからな。んでこっちもなかなかの密集具合。やっぱ餌の確保がしやすいところにこぞって集まる感じか?
「これはイガイだよな?ここらはヨーロッパに似ているし正しくはムール貝ってやつかもしれんか。どちらにせよ餌の種類が増えるのはありがたいし、こいつは礒がねを仕舞ってノミでっと」
コンッ
<採取を習得しました>
「…意外と簡単に取れたな」
ついでにこのゲーム初のスキルも手に入ったな。何々、採取物に対して傷を付けにくくなったり適切な採取位置の理解が深まると……カメノテの時に欲しかったなそれ。
「まぁ釣り餌に使うと決めたからいいが…イガイも同じくなんでこの群生だけで十分か」
正直アワビやトコブシっぽい貝もいるんだが、頭の中から漁業権が離れなくてな…特にアワビの罰金は物凄いんだこれが。まぁ、そんなこと言ったらイガイやらもあるところにはあるんだがな。
「取り敢えずの新鮮なエサも集まった事だし、いよいよ本番を始めるとすっか」
次回釣り準備。正直まだまだ出したい磯の生き物はいたけど我慢…
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