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その35

集合体恐怖症の方は注意かも。

 その後もコンコンとカサガイたちを剝がし続けそれなりに集まったところで、カメノテの仲間であるペルセベスの採取に移ることにした。結局4種類のカサガイが集まったがどれがどれかはよく分からん…殻のスジが多かったりはまだいいが柄はまちまちなもんでな。

「さて、ノミは仕舞ってお次は磯がねの出番だ」

 この曲がってかぎ爪状になった先端を上手い事岩の隙間に突っ込んで掻き出さなきゃならんから、ちょいとコツはいるが慣れるとマイナスドライバーやらでガリガリやるより楽なんだ。下手すると叩いて突っ込むときに大事な可食部を断ち切っちまう……まぁそこは磯がねでもやらかすことはあるし、岩の上にへばりついているのは手でも取れるってのもあって一長一短だな。


「俺んところは夜間採取で使えなくなったんで、仕事の後に行っても釣りばっかで久しぶりに使うが大丈夫かねぇ。休みは休みで医者やコンペで時間が潰れちまってたし」

 いっつもレンタルでゴルフをやっていたが、若い社員が言っていた他の遊びでもいい気がするぞ。ただまぁゆったりとしながら上のもんや取引先と話すには便利っちゃあ便利なんだよな…たまに気分のいい奴からポロッと出た言葉が新しい取引になったりすんのが常だ。


「ってやめだやめ。せっかく自由になったんだから余計なことを考えずに楽しもうじゃねぇか」

 もう俺とは関係の無くなった事だ。一部同好の士が居るんで船釣りの際に誘ったりはあるだろうが、そいつらももう引退の身で下らない話ばかりしてるしな――いかんカメノテ取りに集中だ。

「ここらへんじゃあんま食われないって話だけあって、岩の隙間以外にも表面にすらゴロゴロ生えてんな…日本で見かけるやつらよりちょっとでかいか?」

 それに蔓脚(まんきゃく)が収納される辺りがガチョウって呼ばれるだけあって、白い殻も枚数が少ない代わりに少し広くなっている。そういやポルトガル辺りじゃ高級食材らしいってのを聞いたことがあるが、やっぱこの取りにくさが関係してんのかね?


 そう考えながら、手ごろな群生地帯に目を付けるとガツっと磯がねを横から差し入れて後ろに引っ張る。この半円状のやつを取るだけでも割と数が手に入りそうだな。

「つっても可食部はそんなに多くないんだがなッと」

 力を一瞬強く入れると、ギャリッと音を立てる磯がねに引っ付くようにコロンと岩から外れた。グレープフルーツ大ぐらいの群生だが、食う場所は野球ボール以下だろう。こういう割の合わなさってのもあるかもしれんか。

「味は良いし出汁をパスタに使えば最高のもんになるんだが……ついでにこのまま釣り針にかけりゃ入れ食いされる餌にもなる」

 ただ人が食うのを考えるともう少し下の部分が長い方がいいか?そうなると成長の時に上に伸びやすい岩の隙間の方を狙ったほうが良いのがありそうだ。


「ただ見た目が凄いんだよな…なんだあの密集具合はよ」

 ゴンゾが見つめる岩礁の隙間には、ビッシリとペルセベスが張り付いていた。

スペインやポルトガルではキロ3000~5000円とかするらしいですね…


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