その33
流石に取っておかんと不味いなと思い八百屋の先にあった宿屋らしきマークの場所に入ったが、予想は間違いなかったようで無事に1部屋予約が取れた…代わりに残金が200ミールになったがな!飲み物ぐらいは買えるかね?
「あーっと次は…これを進めばいいんだよな?」
改めて表示されたマップと持っている地図を併用しながら磯を目指していたゴンゾだったが、次に向かうべき道が石畳の舗装されていない土の道であり、その先には柵に覆われた民家が数件並んでいた。
「どう見ても私道だし家しかないんだが…」
地図には通っても問題なく、むしろこの道以外で磯に出る方法がないとまで書かれている。本当かよ。
「つってもここでまごついてたら不審者にしか見えんし、行くしかないか」
気合を入れ土の道に進み、指示通りに民家の前の道を右に曲がると――柵の杭によって見えていなかった横道が姿を現した。
「マジであったな…こりゃ他の奴が地図を手にしたとしても来れてないんじゃないか?」
そもそも渡される地図によって町の詳細が変わりそうな気もするしな…こういう作り込みまでド変態にすんなよ。
「まぁ今はバレていない方が楽でいいけどな。秘密の釣り場ってのにはロマンがあるもんだ」
誰かが公表するまでは後をつけられんように気を付けんとなと思いながら、横道を抜けていった。
ザザザザ…チャポンッ!
「おお…」
波の気の抜けた音が響いたが、横道を少し歩き更に下草の生えた獣道のような道を通り抜けた先には確かに磯があった。磯の形は浜ではなく広いが少し凹んだ入り江になっているようで、波によって削れ歪な形をしたゴツゴツとした黒い岩には海藻や貝がへばりつき、少し奥の大きく空いた穴には海水が溜まりタイドプールになっている…少し様子を見るとまだ海水が引いているようだ。
「この感じ、干潮の少し前ってところか?ならタイミング最高じゃねぇか」
この後の潮どまりから満ち始めを考える必要はあるが、カサガイにカメノテを採取するには絶好のチャンスだ。満潮周辺で海水被るギリの所のやつを狙うよりも、引いているときのやつの方が狙われづらい分でかいのが居たりするからな。
「早速借り受けたやつらを装備して…一瞬で切り替えできんのは楽だなこりゃ」
リアルじゃあいちいち着替えたりベルトのゆるみを直す手間が出てくるからな。特に磯靴なんか塩ですぐ痛むから真水に漬けてメンテも必要……面倒で仕方がない。
「といってもどれも怠ったら無くすのは命だから気を付けんとな。それにその先で待つご褒美は格別だし、気分を落ち着かせる儀式みたいなもんか」
グローブを嵌め左手にたがねを持ち、磯靴のグリップが問題ないことを確認して目を付けた岩礁に向かってゆっくりと歩きだす――大人の磯遊びの始まりだ。
急ぐと転倒するので注意。
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