その21
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若干寒気を覚えながらも店員に代金を払うと、良かったら使ってほしいとブラクリ――楕円や菱形みてぇなオモリのすぐ下に針が付けられた、テトラポッドや岩礁の隙間にいる魚を狙う根掛りしにくい仕掛けのことだ――を1セット貰えた。
「良いのか?しかも普通のじゃなくモンスター用のたけぇやつっぽいが」
「はい!正直に言ってしまうとブラクリってそこまで売れるものじゃなくて余りがちなんです…でも味の良い魚が居るのを知ってる方が居るのか、ギルドボードに依頼が定期的に貼られていまして」
「なるほど、この地図に書かれた中型狙いの場所は岩礁帯だったな」
塩漬け依頼みたいになっていて忍びないから、ついでに釣って来いってことか?……まぁ、依頼が来てんだから普通に売って金にするよりは稼ぎになるだろうし構わんか。
「釣ったとしても幾つかは俺が自分で食うぞ」
「やっていただけるんですね!ありがとうございます!」
「金稼ぎのついでだついで」
んな輝いた笑顔でこっちを見るな。完全な打算で受けた俺が恥ずかしくなるだろうが!
「ただそうなると、スパイクにジャケットも買った方がいいか」
最初は小魚で鳴らしてから岩礁に行こうと思っていたが、中型が釣れるってだけで小型も居るだろうしぶっつけで行っても大丈夫だろ…それでもきちんと準備しねぇと苔やらでつるっと滑ってお陀仏ってのが岩礁だから物は選ばないとな。
「それでしたら依頼を受けられる際に貸し出しがあるので、それを使ってください」
「そうなのか?」
「ええ。ギルドではEクラスの方までは一部道具の貸し出しをしていますので…うちの店が卸して居ますので品質は保証できますよ!」
初心者応援の一環ってわけか。このゲームで初めて釣りをやる奴もいるだろうし、必要な道具の貸し出しってのは大切だわな…尚話を聞かないやつは除く。
「といっても流石にモンスター…私たちの中では魔魚と呼んでいるんですが、そっち用の貸し出しはしていないのですが」
「十分だろ。少なくとも今素寒貧の俺にとっちゃありがたい話だ」
「あはははは…まいどありです!」
――残金1000ミールしか残ってないが、宿は取れるかね?
10000ミールの散財!
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