その18
「悪かったな待たせちまって」
「いえ!お客さんの都合に合わせるのも仕事の内ですから…限度はありますけどね」
「そりゃそうだ」
売り切れの物を在庫あんだろと怒鳴りつけるやつだったり、人が並んでるってのに長々と話し続けるやつとか居るだろうし…ナンパもされるんじゃねぇかな?
「早速なんだが、釣り具はあるか?」
「釣り具となると…こちらですね。それと安全確保の浮き等はこちらにあります!」
おお、次に聞こうと思っていたことを先んじて教えてくれるか。恐らく組み合わせとして鉄板なんだろうがこういったのはありがたいぜ。
「ロッドにリールは結構種類があんな」
ついでにウキとオモリも少々…サルカンにハリはこっちの箱に種類ごとに入ってるわけか。ただ売り切れなのが多い気がするぞ。
「破損したものや微妙に足りないものをギルド員の方が買っていかれるので、在庫は少ないんですが種類だけは多く置くようにしているんです!」
「成程ねぇそれで無いのか…お、ここがラインか」
太さに種類も豊富――スパイダーの糸やらでナイロンやPEは無さそうだ――中々に悪くなさそうな感じがする…が。
「こっちの釣り具はなんだ?」
隣のコーナーにも同じようにロッドやリールが置かれている――ただ値段が桁違いだ。
「あ、そちらはモンスター用になっています」
「モンスター用?」
そういやギルネットのやつが魔獣になったカジキとか言ってたし、それ関連か?
「はい!魚たちもモンスターになると魔力を使いはじめまして、それに対抗するために特殊なコーティングや加工がされた品なんです!」
「普通の道具じゃ耐え切れないってわけか」
「小型の魚がモンスター化したものであれば多少は持ちますが…」
結局はぶっ壊れると……ただ、釣れなくはないってことはだ。
「外界人が何度も買いに来てないか?」
「……はい」
やっぱりそうか。普通の釣り具が売り切ればかりな理由がはっきりしたわ。
「この港町にモンスターと化した小型魚が多く出現する場所がありまして…そこで釣るためだそうです」
「ただ壊れるから何度も買いに来ると」
「そうなんです!ちゃんとモンスター用のものがあると説明してるのに高いからこっちでいいと。外での狩り少なく済んで、スキル上げ効率がいいと言いながらドンドン買いあさっていくんです……お金貯めて良いものを買った方が持つし結局効率もいいと思うんですけど!」
安物買いの銭失いってやつか……にしても、試しにと聞いてみたら不満爆発だな。
道具は大切に!
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