その12
”衛兵だ”
”あの迷惑な奴何とかしてくれ!”
”ギルネットが掴んでるアホな!”
駆け付けた制服の者達に野次馬の町民たちが思い思いに声を出していく…アホって言うなアホって。例え寸分間違いのない言葉だったとしても言葉にすると面倒になることだってあんだから。
「誰がアホだと!?」
ほらこうなった。
「人の耳元で何度も叫ぶんじゃねぇ!」
「グェ!?」
んでこうなると。同情の余地はねぇし、どうせなら俺の記憶なくなるまで締めてくれねぇかな?いや現実じゃ気絶してねぇから意味ないのか…
「全く水産ギルドで外界人の騒ぎと聞いたから駆け付けたというのに、ただの小競り合いじゃないか」
「しかもギルネットって言えば腕っぷしもあるし問題なかったのでは?アレは勝手にまたやらかしますし…」
「巡回に戻りましょうや~。まだ花街見てないでしょー」
「そういってやるな。確かにやつは脳も筋肉だと思うような男だが、善人だし外界人となれば我らが対処せねば町にも領主様にも顔向けできんだろう……それにお前は花街でちやほやされたいだけだろう!」
バレましたかーっと頭に手を当てる部下に対し肩を落としながらも、野次馬たちの輪を連れてきた隊員で解き中心にいるギルネットに向かう衛兵隊長。
「それで、騒ぎの原因はこいつかね?」
「おう!ギルドの中でも不良品をつかまされたといちゃもんを付ける奴って有名だったんだが、受付がキレたのか外まで放り出されるのを目撃しちまってな…そんでうちのドアを壊すような勢いで叩きまくるからとっ捕まえてこの有様よ!」
「ふむ、誰かほかに目撃者は?」
「そこにいるぜ!」
ギルネットが元気よく笑顔でこっちに向けて指を差してきやがった…まぁ隣で見てたし仕方ねぇか。
「どうやらこやつと同じように外界人のようだが…おい、五月蠅くてかなわんから口を塞いでくれ」
「お任せをー!」
隊長の言葉に反応して先ほど花街と発言していた調子の良さそうな隊員が、ジェル状の物が入った壺と布を取り出し手際よく藻掻く少年の口に貼り付けた。
「んーー!むー!?」
「ありゃまだ聞こえますね…綿でも詰めますー?」
「そこまではせんでもいい」
「了解でーす!ついでに腕とかも縛っちゃいますねー。ギルさんそのまま手伝ってくださいなー!」
「脳筋なんで間違えて腕折っちまうかもしれんぞ?」
「それはそれで大人しくなるんで!あと脳筋については俺言ってないんで隊長に詰めてくださいなー」
腕を折るという発言に恐れを感じたのか多少大人しくなった少年に対し処置を始める2人をよそに、こちらでは隊長さんによる尋問…いやこの場合目撃者の証言になるのか?
「さて…まず名前を聞きたいのだが」
「おう、名前はゴンゾ…ゴンゾ・ウェーダだ。種族はまぁ見ての通りドワーフだ…ついでに言えばこのラウドって星に来たのは今日からだ」
髭も生やした典型的な姿なんでこの港町じゃ浮く姿なんだよな。今のところ他のドワーフを見かけねぇし…人気ないのか?
「ほう、初日だというのにギルネットに気に入られているようだが?」
「そうか?確かに港についてすぐに魚介の荷運びをやらされたが、そんだけだぞ」
「荷運びというのは重労働だろう。その様子を見るに別段音もあげずに手伝ったのだろう?」
「そりゃこの腕がありゃあな。数は多かったし、途中でサーモンがドカドカ入った木箱を運ばされたりしたが…」
「普通は突然手伝えと言われた挙句、そのような重労働をさせられたら音を上げるどころか逃げられるぞ…」
ああ、やっぱりこの世界でもあの誘いはおかしいんだな。
迷惑プレイヤー退場のお知らせ。そして漁場の彼らはフッ軽の極み。
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