その100
副ギルマスが予め要されていた報酬金をカウンターの裏から出して渡してきたんで受け取る…ほうほう、2100ミールか。予想よりも大分いいんじゃねぇか?
「明細はこちらとなっています」
「ああ、成程な。魔石の質がちょい良かったのか」
最低価格でも1000ミール手に入ったんだが、運が良かったと考えるべきか…あの称号は船に乗っていた場合だから関係ないよな?そんで豆鯵は載っていた依頼金よりも倍になってやがる……鮮度落ちを防ぐために血抜きや氷締めをやりはしたんでその分の上乗せ何だろうが、ギルマスのポケットマネーから出ていると考えると何とも言えんぞ。どうせ孤児が釣ってきた豆鰺も何かと理由を付けて報酬金上げているだろうしよ…嫌だぞトップが素寒貧ってのは。
「申し訳ありません、少額であろうとも依頼金以外の報奨金は同額以下に収めるというのが規則になっておりまして…」
「いんや、別にそれが理由で考え込んでいたわけじゃないんで気にしないでくれや。元々が300ミールの依頼でごねたりなんぜしねぇって」
「そうですか?であれば報酬金の受け渡しについては以上となります」
「あいよ……その感じからして、他にも用があるみたいだな」
「お分かりで?」
「そらぁな」
ギルドのナンバー2がこんな入りたてのFランク新人を待っていたなんて、普通に考えたら金の受け渡し以外にも用があるって考えつくわ。深刻そうな顔はしていないんで、厄介事じゃなさそうなのが幸いだな。
「んで?面倒なのはお断りしたいんだが」
「ご安心ください、そこまでの事ではありませんから――――根魚の依頼を覚えていますか?」
「そら今日やったやつだからな」
寧ろ今日一で記憶に残った依頼だぞ。小型魔魚をすっ飛ばしての中型魔魚のハタとのファイトだったからよ……あの引きと岩場でいつラインが擦り切れるかわからないっていうひりつく感覚は、最近じゃ味わっていなかったんで随分と若返った気分になったなぁ。その後の情報量の多さで一気に疲れたがよ。
「あの依頼は半月ほど塩漬けになっていた物でしたので依頼した本人も取り下げようと思っていたそうなのです」
「ああ、道具屋のリールから塩漬けだってのは聞いていたな。ただ、取り下げようかってのはアイツも言っていなかったな」
「ご本人から喜びの声とともに聴いたものですから」
「本人?」
「ええ、依頼者本人が少し前に直接お礼を言いたいとギルドにやって来まして…今は酒場にいるのです」
確かにそこまでの面倒ごとでも厄介ごとでもないか……時間はかかりそうだが。
依頼人「来ちゃった♪」
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