第69話
第69話 魔女の痕跡
ガルフは、学園の異常を調査していた。
教会から報告のあった奇病について、悪魔憑きの可能性を探っていた。
しかし、フィルが施した魔法防壁によって、悪魔は出入りができない。ゆえに残党の悪魔が悪さをしているのではないかと考えていた。
調査しているうちに、トンスとチンユー、カンビは同級生で仲が良かったということが判明した。
そして、そのクラスではいじめがあったのではないかというところまで確認している。
しかし、それ以上の情報はわからなかった。
「しかし、悪魔憑きなら、病気を用いて人を殺すか?」
「さぁ、今回は何か違う気がしますね。」
マルスが言った。
「正直、このアンケート内容もいじめはないと皆が言っていますし、不登校になったミューラーという子は単に学園が嫌になっただけなのでは?」
「そうだな。しかし、ミューラーという子が不登校になってから三人が奇病にかかっている。関係がないとも言い切れない。これは、全員に聞き取りをするしかないな。」
―――――
「君はレリウス・クロウラー君だね。私は第二騎士団長のガルフだ。」
「あ、はい・・・。僕に何か用ですか?」
「トンス君とチンユー君、そして、カンビ君のことを知っているね?この三人について聞きたいことがあるんだがいいかい?」
「はい・・・。」
クロウラーは、ミューラーと母親が帰っていくところを目で追いながら答えた。
「聞きたいことなんだが、単刀直入に聞こう。ミューラー君はいじめられていたか?」
「え?・・・あ、はい・・・。」
「では、なぜ君はこのアンケートにいじめはないと答えたんだい?」
「それは、報復が怖かったからです・・・。」
「報復?では君はいじめを行っていた子が誰なのか知っているんだね?その子を教えてくれないか?」
「それは・・・。トンスとチンユーとカンビでした・・・。」
「なるほど・・・。協力、感謝する。ところで、この話を他の誰かにしたかい?」
「ミューラーに謝りたくて、ミューラーのお母さんに話しました。」
「そうか。参考になった。ありがとう。」
ガルフは、クロウラーを家まで送ってあげた。
―――――
「すみません!ミューラーさん!ご在宅ですか?」
ガルフがミューラーの家の前で呼び出していた。
「はい。これは騎士様、何か御用ですか?」
「すみません。この度、学園で起きている異常現象について調査していまして、各家庭で聞き取りをしているのですが、「クリスト」という子をご存じではないでしょうか?」
「いいえ。そのような子は知りません。」
「そうでしたか。では、トンス、チンユー、カンビという子はご存じですか?」
「え?あ、はい。息子をいじめていた子です。これはクロウラー君から聞いた話ですが。」
「そうですか。少し、家の中を拝見してもよろしいですか?」
「ど、どうぞ。」
ガルフは半ば強引に家の中を捜索した。
しかし、これといって怪しいものは見つからなかった。
さらに、聖水にも触れさせたが、とくに反応はなかった。
「今、ミューラー君をいじめていた三人がどうなっているか知っていますか?」
「病気で学校に通っていないと聞きましたが・・・。一人は亡くなってしまったとか。」
「はい。その通りです。何か身に覚えはありませんか?」
「私たちが何か関係があると?」
「いいえ。可能性の話です。」
「特にありません。どうぞ、お引き取りを。」
―――――
ミューラーの母親は、汗をかいていた。
チンユーが亡くなったことを聞いたときと同じほど動揺していた。
なぜ、騎士団がここに来たのかということと、あの三人はどうなってしまっているのかということに。
ミューラーの母親は、自分のしたことの重大さに気づいていなかった。
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「明らかにミューラーの母親は何か隠している。だが、それ以上は、わからん。悪魔憑きでもない。」
「悪魔憑きでなければ、なにが原因なんでしょうか。」
「これは、三人の家を調査してみるしかないな。」
ガルフとマルスは、ユーアの力も借り、トンス、チンユー、そしてカンビの家の調査を行うことにした。
各家の中をくまなく調べていたが、魔法陣や魔法の痕跡等は出てこなかった。
子ども部屋を調べていたガルフは子供の部屋から小さい袋を見つけた。
その小さい袋は、他の子の子ども部屋にも同様にあった。
それを持ち帰ったガルフたちは、フィルに助言を求めた。
「フィル。今調査している件なのだが、この小さい袋が奇病にかかっている子たちの部屋にあったんだが、何かわかるか?」
「中を見てもいい?」
「あぁ。構わないぞ。」
小さな袋の中に共通で入っていたのは、鳥の骨、小瓶に入った血、ウサギの毛だった。
そして、トンスの部屋にあった袋には、ストロー。チンユーの袋には上履きの切れ端。カンビの袋には髪の毛が入っていた。
「ガルフ兄様、これは・・・。呪い袋だ。」




