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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第66話

第66話 新体制始動


 ルシファーの騒動から幾年かたったころ。

 王政の中心になっていたのは、サリープだった。

 アドレニス王の側近として、高い知識を存分に奮っている。特に今回のルシファーにより破壊された王宮や多くの犠牲者を出したケルンの復興などの中心となっていたことから、この国のほとんどを任されるようになっていた。

 ガルフに関しては、第二騎士団長の座を有しながら、第一騎士団長のユーア・メリルの支持の下、各騎士団の取りまとめを行っていた。

 昨今の情勢では、周辺の魔物との戦闘や王国内の犯罪が減少傾向になっているため、王城の警備が主な仕事になっている。

 そして、メルトとアルトの遺体については、フィルによって結晶の中に封印され、王城の地下で守られている。

 遺体と言っても魂が、抜き取られた状態であり、肉体自体は仮死状態になっている。


―――――


 そのころ、フィルは15歳となっていた。

 学園の高等科2年も終わり、最後の年を迎えていた。

 フィルは、新しい王城と新王都ケルンに施した魔法防壁の功績が称えられ、授業には出ずに自分の研究に没頭していた。

 フィルが、ルシファーの一件から熱心に行っているのは、魂を別の肉体に移す方法であった。

 もちろん、そんな都合のいい魔法はアドレニス王国には存在しない。

 メルトとアルトを元の姿に戻すために日々、研究を重ねていた。しかし、二人の魂はかけらとなり、ほとんど気配を感じられない。

 この状態でもとに戻したとしても、意識を取り戻すことがない状態かもしれないと考えていた。

 とくに、ルシファーの原動力にされていたメルトの魂は激しく損傷していたため、研究を重ねても不安が募るだけであった。

 しかし、うれしいこともあった。それは、四大精霊の紅と茶々丸が仲間になってくれたことだ。

 王城の再建の時に力を貸してくれたが、そのあとのことは二人が決めることだと思っていた。しかしながら、フィルの下に居たいという申し出を聞き入れないわけにはいかなかった。

 フィルからしたらとても心強い二人であり、陽属性を用いる精霊の力を借りれば、魂の修復も可能ではないかと思ったりもした。

 

 「紅!いつまで、焼き芋を食べているんですの!」

 「リリィも食べるかぁ?」

 「焼いただけの芋なんて食べるわけないですわ。もっと甘いスイートポテトのようなものなら頂きますわ。」

 「すいーとぽてとぉ?なんだぁそれぇ?おいしいのかぁ?」

 「それはもう。口の中でとろけるような甘さのスイーツですわ。」

 「そんなことを言っている場合じゃありません。フィル様の研究の邪魔になってしまいます。」

 リンがぴりりと言った。

 

従者の人数が増えた今、学園の一室では手狭になってしまったので、王城のフィルの部屋でフィルは研究を進めている。

「気にしなくていいよ。今は、悪魔の異常現象もないし、いたって平和だから。のんびりしても。」

「とは言っても、魂を写す方法の手がかりはまだありんせん。わっちらもお手伝いしたいのでありんすが。」

「新聞を読んで情報収集。」

新聞を逆さにもって調べているふりだけしている藍が言った。


「今のところ手がかりは何もないね。堕天使ほどの力があれば、出来るんだろうけど・・・。」

「魂を移す方法よりも消耗した魂を回復させる方が大変でありんしょう。」

「翠の言う通りだね。魂を譲渡したりすること自体は、そんなに難しくはなさそう。でも、傷ついた魂を肉体に戻しても、目を覚ますかどうか・・・。」

「そもそも魂というのはどういうものなんでしょうか。」

「魂はエネルギーの塊なんだよ。肉体を動かす原動力であり、記憶媒体であり、その人物の個性そのものっていう感じかな?それが、消耗した状態だと、肉体に戻しても何らかの欠陥がある状態になっちゃうと思う。」

「誰かの魂を吸収させればいいじゃないのぉ?」

焼き芋を食う紅が続けて言った。

「炎と同じで、炎が小さいなら燃料を足してあげればいいんじゃないのぉ?」

「・・・」

一同が静まり返った。


「魂の再燃ってことか・・・。」

フィルは考え込んでいた。


「待てよ?どこかにあったような・・・。これだ!」

フィルは古びた本の一ページを指さした。

「これは・・・?」

「黒魔術だよ。」

「黒魔術?」

「そう。魔法とは違い、魔物の素材やいろいろな素材を用意して儀式を行うことで、発揮する魔法とは違うものなんだ。特に霊界や魂に干渉することを得意としているものなんだよ。」

「フィル様も使えるんでしょうか?」

「学べば使えるようになるかもしれないけど、あくまでも僕の領分ではないね。これらを得意とするのは魔女さ。」

「魔女ですか!?」

「そう、ほとんどがヒューマンや亜人出身のものが多い魔女が黒魔術を得意としているね。アドレニス王国では、ほとんどいないけど。」

「魔女は姿をくらますのが上手いと聞きましたわ。」

「そうだね。大体、魔術を行使するために、儀式やその他の素材を使うってところから、物自体が現場に残りやすいんだ。だから、一般人に成りすまして生活している魔女も少なくない。」

「儀式の痕跡から魔女の場所を割り出して、黒魔術を行使させるのが手っ取り早いですわ。」

「これからは魔女の仕業と思われる事件や事故を追っていこう。」

「かしこまったでありんす。紅も約に立つでありんすね。」


「うちもやるときはやるのだぁ!な!茶々丸!」

「ワン!」


紅の助言もあり、魔女探しを行うことになった一行は、アドレニス王国内で起きる不審な出来事を探るようになった。


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