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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第40話

第40話 憤怒の悪魔3


 「ほらほらどうした!さっきの威勢はどこに行った!」

 憤怒の悪魔のラッシュがリンを襲っている。

 避けてもうねり曲がる拳がリンにヒットする。そのたび、ガードをするも、スーツは破れダメージを負う。

 リンも負けじと右のフックを顔面に叩き込む。

 憤怒の悪魔の顔が歪むが、歯を食いしばって耐えている。そして、背中の液体が徐々に増えていく。

 先ほどは一発で液体が満タンになったが、徐々に満タンになる速度が遅くなっている。

 

 リンは、異様なタフさに気づいた。

 「ただやせ我慢しているだけではないってことですね。」

 「ははは。お前の攻撃には慣れた。だから今まで以上の攻撃をしないとそのうちダメージを与えられなくなるぞ?」

 「ご忠告どうも。」

 

 そういうと、リンは、左のジャブからの右ストレートを打ち込み、さらに身体を回転させ、上段蹴りを憤怒の悪魔の顎に直撃させた。

 

 『ここに来て蹴りだと!?しかもコンビネーションからの上段蹴り。なんて格闘センスなんだ。』

 

 顎を捕らえた蹴りによって、憤怒の悪魔は後ろにふわりとのけ反った。

 そして、そのがら空きとなった腹部へ強烈な一撃がジャストミートした。

 

 「『真の魔人拳(リンス・パンチ)』」


 衝撃波が辺りを吹き飛ばす。

 憤怒の悪魔は、リンの渾身の右ボディブローを両手でつかみ耐えていた。

 

つかまれた腕を持ち上げられ、宙づり状態になったリン目掛けて、憤怒の悪魔は拳を振るった。

その攻撃は、リンの蹴りによって上方へ軌道を変えられ、当たらなかった。

拘束から逃れたリンは、パンチや蹴りを織り交ぜながら憤怒の悪魔を圧倒していく。


すると、リンの右フックを躱した憤怒の悪魔の足元からものすごい音がした。

「バキン!」

右フックに気を取られ足元に攻撃が来ていたことに気づかなかった憤怒の悪魔が叫んだ。


「ぐおおおお。」


リンが放ったのは、憤怒の悪魔のちょうどすねの横辺りを思い切り蹴りぬいたのだ。

上半身への攻撃が多かったのは、このカーフキックを直撃させるための布石だった。

憤怒の悪魔の背中の液体が一気に蓄積された。


『シーシーシー!強烈なキックだ。なんども受けていたら立っていられなくなる。』

独特な呼吸をしている憤怒の悪魔は、しゃべる余裕がなくなっていた。


「私は魔人ですから、悪魔に直接攻撃出来るんです。今のは相当痛かったんじゃないですか?」

「ああ。今のは痛かった・・・。痛かったぞぉぉぉ!」


憤怒の悪魔は、怒りに任せて拳を振るった。

当然、攻撃を曲げ無理やりにでも直撃させてくる。リンはガードをするも衝撃で後退した。

スーツは焼けただれ、ところどころから素肌が露出している。


「これでは、執務に影響がでますね。新しいスーツを買わないと。そういえば、フィル様からもらった私専用の防具があったんでした。」


リンはパチンと指を鳴らすと、ぼろぼろのスーツから一転、黒を基調とした腕と足の横に白いストライプの入ったジャージ姿になった。


「なんて動きやすい服装なんでしょうか!さすがフィル様!」

「なんだその安物の布きれは。一瞬で燃え尽きそうな素材だな。」

「これはそこら辺にある、鎧よりも高性能なものですよ。耐打撃性、耐斬性、耐刺突性、ほとんどの攻撃に耐えうる性能を持っているジャージというものです。」


リンの起伏にとんだスタイルを一層際立たせる、ぴったりとしたそのジャージは、フィル特製の戦闘服だった。

このジャージは、他のフィルの従者が悪魔を見分けるマジックアイテムをもらうなか、リンだけ何もないのはいかがなものかとフィルが、リンへと送った代物だ。

塑像を用いて、作った強度の高いアダマンタイト製の糸で、1本1本に付与魔術が施されており、それを織り込んで布にすることでさらにパーツごとに付与魔術が発動するという超高性能なジャージである。


「これで私も全開の力が出せます。さあ、天地がひっくり返るほどの殴り合いをしましょうか。」


 憤怒の悪魔は、攻撃を受ける度、そのダメージを軽減することができ、さらには、そのダメージを蓄積して力に変える能力を持っている。

 背中から生えた試験管のようなものは、3本目がいっぱいになりそうなところで、止まっている。

 カーフキックを受けたときにかなりの量の液体が増えた。これによりダメージへの耐性も大きくなった。


 「いかにお前が新たな装備をしたところで、俺にはもう攻撃は届かないと思うがな。」

 「はぁ。私は何をするにしても形から入る魔人なので。やはり、運動すると決めたからには、動きやすい服装を買ってから気分を高めたいじゃないですか。」

 「俺との闘いをただの運動と一緒にするか。」

 「そうですね。サンドバッグを叩くレベルでしょうか。」

 「ふざけるな!殴って殴ってぼろ雑巾のようにしてくれる。」

 

 憤怒の悪魔は、リンに目掛けて大ぶりの右ストレートを繰り出した。

 

 「『炎の魔人拳(イフリート・パンチ)』」

 「だから、もう当たりませんよ。」

 リンが避けた先にぐにゃりと曲がる拳の攻撃は、リンが払いのけるように弾いた。

 

 「ああ。なんて快適な服なのでしょう。すべてが思い通りになってしまう。」

 「くっ。いともたやすく弾きよって。ならばこれでどうだ。」

 

 憤怒の悪魔は、拳の連打を繰り出した。

 轟音とともに炎が空気と擦れ勢いが増し、はたから見ると炎の塊が何度も何度もリンに衝突しているように見える。

 リンは、攻撃が当たる直前で体を捻り、躱し、曲がる攻撃にはガードをしすべての連撃をいなしている。

 

 「『真の魔人拳(リンス・パンチ)』」

 

 しゃがみ込むような体勢から一気に跳躍するように、下から上に伸びた強烈な一撃は憤怒の悪魔の顎を捕らえた。

 憤怒の悪魔は、一瞬なにが起きたのか理解できなかった。ぐらつく視界とおぼつかない足が自分の能力のダメージ耐性を超えた威力の攻撃が直撃したと物語っている。

 背中の液体は計4本。歯を食いしばり、倒れかける身体を何とか留めることができた。


 『さきほどと威力も精度も段違いだ・・・。これがジャージの力か。』

 

 上半身裸の憤怒の悪魔は、その肉体をフルに使えるようなウェアが欲しいと思った。



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