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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第38話

第38話 憤怒の悪魔1


「そっちがその気ならやってやりますよ!」

「お前を取り込んで、その力を有効活用させてもらう。」

「すごく気持ち悪いことを言ってる・・・。」


大男は、巨大な拳を振り上げ紅を殴ろうとする。

しかし、紅はヒョイと避け、青い炎で反撃をする。


「そんな大ぶりの攻撃、当たるわけないじゃん。」

「なら、当たったらお前は終わりだな。」

「いちいち癇に障るなぁ。」


―――――

 

 ヒルドの村は、温泉街である。しかし、その村人たちの生活はかなり苦しかった。

 なぜなら、領主が到底払いきれるはずもない税金を課したからだ。

 天然資源である温泉を使えば、集客できるといい、それにかかるコストなどを一切考えずに、徴収するよう命じたのだった。

 そんな中、大男は、自分の温泉を持っていないただの従業員だった。

 彼は、風呂場の掃除や宿屋の掃除、源泉の確認までほとんどを任されていた。それにもかかわらず、もらえる賃金は、到底暮らしていけるような金額ではなかった。

 しかし、彼はいつもにこやかにしていた。温厚な性格で、愚痴の一つも言わず一生懸命働いていた。


 そんなある日。村人からいじめを受けるようになった。なぜなら、皆払いきれない税金でイライラしていたのである。自分よりも弱い存在を作ることで精神安定を図ろうとしていた。

 そのいじめは、最初は風呂場で転ばされる程度だったものが、ついには、高温の源泉をかけられるようになった。

 いつもにこやかにしていた彼も、次第に暗い顔になり、一言も発さなくなった。


 遂にいつものように、嫌がらせをしてくる風呂場で店主を怒りに任せて殴ってしまった。

 体の大きい男が、一撃を浴びせたらどうなるかは容易に想像がつく。

 「すみません」と謝ろうと思いその店主に駆け寄ると、そこにはただの放射状に飛び散った赤い肉塊だけがあった。

 不思議そうに見ていた男は、いつものように風呂場をデッキブラシでこすり始めた。

 何も言わないでもくもくと掃除をしてく男の目は黒く淀んでいた。


―――――

 紅は、憤怒の悪魔の攻撃を華麗に躱している。

辺りの岩々が憤怒の悪魔の拳で砕かれていく。

 

「真剣勝負なのに回避に徹しているのは、卑怯だな。」

「悪魔に卑怯なんて言われたくない。」

「なら正々堂々と撃ち合いをしてケリをつけようじゃないか。」

「賛成だけど、悪魔の言う正々堂々が信用できるほどお人よしじゃないよ。」

「なら仕方ない。力のぶつけ合いを懇願するような、熱い一撃を食らわせてやる。」

「むさ苦しいですよ。」


というと、憤怒の悪魔は、構えた。

今までのただの殴るだけの攻撃でなく、ちゃんと構えをとった。

紅は、いつでも回避できるように身構えている。


「『悪魔の(イービル・パンチ)』」


轟音と暴風を纏った溜めの一撃は、紅を掠った。

紅は、辺りに小さな火の粉をまき散らしていた。その火の粉の動きで攻撃を見極め避けた。

しかし、あまりの速度で掠ってしまった。


「ぐぅっ!」


ぼたぼたと口から血を吐く紅。


「掠っただけでこの威力・・・。攻撃させてはダメみたい。」

と、言っている間に再度、轟音が鳴り響き、拳が飛んでくる。

辺りの火の粉から読み取った動きで素早く回避する紅。しかし、避けてもどうしても攻撃が当たってしまう。


「なんで!避けてるのに!あの攻撃を溜めているときに攻撃しないと。」


避けても当たる拳に翻弄される紅。

しかし、一定の時間に隙ができる難点を見逃さず攻撃に転じた。


「『陽光炎帝』」


紅は頭上に掌を掲げ、魔法陣と共に炎と光が混ざったような球体を作り出した。


「二発も殴られた!許さない!女の子に手を上げるやつは消えてなくなれ!」


攻撃をするために構え、力を蓄えている憤怒の悪魔に足し、過剰ともいえる高温の球体が着弾した。

憤怒の悪魔の足元は、ジューゥと音を立て、溶けていく。

火属性と陽属性の混合魔法である「陽光炎帝」を食らえば、悪魔は浄化され燃え尽きる。

しかし、その球体のなかで、いまだに憤怒の悪魔は攻撃の構えを取って力を溜めている。


「は?なんで?なんで効いてないの!?」

「効いているさ。かなりな。とてつもない痛みだ。しかし、俺を消滅させるならもっと強烈な攻撃をしないとダメだ。」

「なにを言っているの?この悪魔は、気持ち悪い・・・。」

「ははは。どうした?こんなものか?お前の力はこれで終わりか?」

「バカにして。消えてなくなっても後悔するな!」


「『陽光炎帝』フルパワー!」


憤怒の悪魔の周りに5つの魔法陣が浮かび上がった。

そこから作り出された5つの球体が憤怒の悪魔に着弾し一つとなった。


「ぎゃあああぁああぁぁあぁぁ。これは熱いい!」

「ふん。塵になって消えろ!」

「ぎゃあああぁああぁぁあぁぁ!」

「さっきの威勢はどこに行ったんですかね?」

「ぎゃあああぁああぁぁあぁぁ!」

「・・・随分と長いですね。」

「ぎゃあああぁああぁぁあぁぁ!」

「まだ死なないのかい!」

「ぎゃあああぁああぁぁあぁぁ、まだだ!まだ終わらん!こんなもので怒りが収まるはずがない。」

「なんなんですか。この悪魔は・・・。なんで効かないのですか?」

「ははは。何度も言っているだろう。効いているさ。お前の攻撃は!ただ俺が我慢しているからだ!」

「は?我慢?そんな根性論でどうにかなる攻撃じゃないはずです。」

「何を言っている。すべては根性だ。お前が避けた攻撃が当たるのも根性で当てている。今のこの攻撃を耐えられるのも根性だ。」

「そんなバカな話がありますか!」

「これがお前の限界とみた。俺の根性の拳を受け取れ。『悪魔の(イービル・パンチ)』」


憤怒の悪魔は、灼熱の炎の中で強烈な一撃を放った。

その拳の一閃は、紅に着弾し、背中から衝撃波を出し、吹き飛ばした。


「ぐは!なんでこんなやつに・・・。」


薄れ行く意識の中で紅は、悔しがった。

煙をあげ、身体はボロボロにただれ、丸焦げになった憤怒の悪魔が、ゆっくりと近づいてくる。

紅は静かに気を失った。


「熱い戦いだった・・・。遠慮なくお前の力を活用させてもらう。」


そういうと、憤怒の悪魔は紅を自身へ取り込み、姿を変えた。


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