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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第287話

第287話 竜谷の全貌



 『フィル様、未開拓領域で、竜人の国と和平を結ぶことが出来ました。』

 『おお!やってくれたんだね!』

 『それで、一度こちらに来て頂けませんでしょうか。』

 『うん。わかった。魔王エヴァと一緒にそっちに転移するからちょっと待ってて。』

 『かしこまりました。』


 フィルは見知ったところであれば転移できるが、座標を特定する魔法を利用してリンたちの居場所を特定した。

 そして、魔王エヴァと共に竜谷へ転移した。


 「じゃあ、行きましょうか。」

 「あぁ。頼んだ。」

 「はい。『次元転移』」


―――――


 竜谷は、ユグドラシルの森と呼ばれる、ユグドラシルの体の上に広がる自然のさらに奥に広がる谷を利用した竜人の国だ。

 飛び交う飛竜種に目が行きがちだが、巨大な滝や流れる川が多くとても豊富な水資源がある。

 竜谷内は食糧不足であると言われていたが、主に魚がを主食としていた。

 それが大量の年もあれば、捕れない時もある。それによって食糧問題が左右されていた。

 

 竜種は、大量の食糧を消費すると思われがちだが、巨大になればなるほど食は細くなっていく。

 その代わり、空気中の魔力を体に蓄えることで、生命を維持することが出来る。そして、魔力を蓄えることにより、その竜種にあった能力が向上する。その竜の鱗や生え変わった牙や爪には魔力が宿り、何年もの月日により形状を変えていく。

 ヒューマンからしたら宝であるものが、そこら辺に普通に落っこちている。

 竜谷の利用価値というのは、豊富な水資源。そして、ドラゴンの素材が手に入ること。これらは、魔国とフィニアにはない特徴だった。

 

―――――


 「こちらが我らが主、フィル・バン・アドレニス様です。そして、お付き添い頂いているのが、魔国の王、魔王エヴァ様でございます。」

 「どうも、こんにちは!」

 「唐突な訪問にも関わらず、受け入れていただき感謝する。」

 

 イグニコルアスたちは、目を丸くしている。

 それもそのはず、模擬戦で一人だけ次元の違う力を有していたものが目の前に現れたのだから。

 

 『あ、あ、あの時の・・・。』

 「え?お会いしましたっけ?」

 『我ら神龍は魔剣を通して、そなたを見ている。』

 「あぁ!魔剣の神龍様たちの住みかだったんですね!これは奇遇ですね!」

 『・・・。ここまでくるともはや運命としか言えない。』

 「しかし、この度は僕たちの提案を受け入れていただきありがとうございます。」

 『いいや。我々も竜人たちを統率するものとして、ほんの少し前に選出されたばかりだ。国の統治の仕方など分からない。』

 「それなら心配ない。魔国が全力を持ってフォローさせてもらう。」

 『特に配慮してもらいたいことがある。竜人たちはもともとユグドラシルという神龍に守られていた。それによって、多種族との交流が皆無だ。いきなり多種族の交流は難しいと考える。』

 「なるほど、それに関しては考慮させていただく。特に問題ない人選をしようと思う。」

 『うちらもこの巨体で話すのもあれやな。やりづらいな。』

 「ちょっと首が痛くなりますね。」

 『そやろ?ちょっとまってや。』


 イグニコルアスたちはそういうと、光に包まれた。

 そして、巨大だった体は収縮していき、小さな龍に変わった。

 

 『これなら話しやすいやろ!』

 「サイズが変えられるんですね!」

 『これで話し合いもしやすいというものだ。』

 『・・・。威厳はなくなるかもしれないがな。』

 「確かに可愛くなっちゃいましたね。」

 『神龍を可愛いってなぁ。そう言えるんはお前さんだけやで。』


―――――


 新しく可愛らしい姿になった神龍たちは、竜谷の作りすらもよくわかっていなかった。

 崇められていたが、神龍自体が何かするわけでもなく、ただ見守っていただけだった。しかし、今度は神龍が表立って、竜谷の代表となり魔国とフィニアと連携を取ることになる。

 それが意味するのは、神龍たちの統率力の構築であった。信仰だけでは、国は作れない。リーダーとしての判断力や決定力が必要になってくる。しかし、力しか持っていなかった神龍が国を任されたわけだ。

 その状態がどういうことか、フィルや魔王エヴァは重々理解していた。

 

 『正直なところ、何をどうしたらいいかわからへんのや。』

 「とにかく、居住地の開拓がいいんじゃないでしょうか?ドラゴンとの共存もできる家の建設はどうでしょうか。」

 「ここには大量の石材がある。これは土竜人や鼠人の出番であろう。彼らを派遣し、居住地とその下に階層構造を作るのはどうだろうか。」

 『ちょっと待ってくれ。さきほども言ったが、多種族をいきなり派遣するのは厳しいと考える。』

 「では、竜人たちに技術を提供できるものだけを派遣して、実際の作業は竜人たちに行ってもらうのはどうでしょうか?」

 『うむ。それであれば、良いかもしれない。』

 『・・・。居住地はそれで今よりも利便性が上がるであろう。しかし、世界樹はどうなる?』

 「それに関しては、竜谷には作りません。竜谷はあくまでも居住区域ですし、岩石や鉱石が多すぎます。なので、あちらの森に作ろうと思います。」

 『本当に世界樹を生やせるんやな。』

 「はい。これだけの肥沃な土地と魔力があれば十分です。竜谷との和平の記念日として、今日世界樹を生やしたいと思いますがどうでしょう?」

 『そんな簡単に出来るんかいな!?』

 「えぇ。まあ。許していただけるならすぐにでも。」

 『あの~。ちょっといいかな?』

 

 ユグドラシルが念波で話に入ってきた。

 

 『なんやねん、ユグドラシル。』

 『あのね、世界樹を生やしてもらっても構わないんだけど、僕の上に生やさないで欲しいんだよね。』

 『なんでやねん。』

 『いや、世界樹の根っこがね、僕に刺さるんだよ。魔力も吸い取られるし、あんまり近くに生やさないで欲しいんだ。』

 『あぁ。そりゃそうやな。そんな都合よくできるか?』

 「できますよ。ユグドラシル様がいる場所もわかりますので。いい具合なところをチョイスして生やしますよ。」

 『それは助かるよ。』

 『もはや神の領域だな。そんな都合のいいことが易々と出来るヒューマンとは。』

 『・・・。全く持って驚きだ。』


 そして、フィルは「『創造する大地(クリエイト・ガイア)』」と唱えた。


 竜谷の入り口、谷底の丁度横に巨大でかつ神聖な巨木が生えてきた。

 それは、竜谷がここに存在することを示すかのように、大きなシンボルとなった。

 世界樹により、水資源がさらに浄化され綺麗になっていく。豊かな自然がさらに新緑に包まれていく。鉱石に含まれる鉱油と呼ばれる毒性のある油が、川を汚染することもあったようだが、世界樹の浄化の力によって、その毒性もなくなり、魚の漁獲量に影響がなくなることも期待されていた。

 そして、最大の利点として、世界樹は飛竜種の止り木と巣として利用されることになる。

 こうして、新しい同盟の地として、竜谷が仲間になった。



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