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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第286話

第286話 竜谷への侵略5



 『なんという威力だ・・・。』

 

 アクアリウムゼムは、天照玉の爆破を見て言った。

 

 「それで?私達はどうするのかしら?」

 

 リリィは、日傘をさして言った。

 

 『そなたもあれほどの力を有しているのか?』

 「いいえ?あんな化け物じみた威力の攻撃できませんわ。」

 『そうかなら、一瞬で終わらせて勝たせてもらおう。』

 「どこからでもどうぞ。」

 

 アクアリウムゼムは、リリィの余裕に焦っていた。しかし、その余裕が何から来ているのかわからない。だからこそ、一撃必殺の神龍の咆哮を使うことにした。

 

 「『彗星龍の咆哮(コメット・インパクト)』」

 

 アクアリウムゼムの口は、大きく開かれ光を吸収している。そして、一閃。

 マルスの抜刀よりも早く一瞬瞬いた。縦一線にまっすぐ亀裂が入った。リリィの後ろに広がる石造りの家もユグドラシルの森の中腹まで、斬撃が切り裂いたのである。

 

 アクアリウムゼムの口からは煙が上がっている。

 これが、アクアリウムゼムの何でも切れる能力の根源だった。切り裂かれたこともわからないほどの瞬時の両断。リリィは、日傘をさして立っている。

 

 『まぁ。そうであろう。切られたこともわからないほどの斬撃。そして、動けば、両断されたことに気付く代物。さぁ、どうなる。』

 「・・・今のが全力かしら?」

 『な、なに!?何が起きた!?直撃しているはずだ。』

 「日傘を新しくしなきゃならないわね。」

 『そんな悠長なことを言っている場合ではないレベルの攻撃だぞ!?』

 「一つ、説明しましょうか?なぜ私が切られていないか。」

 『あの攻撃が斬撃だと認識しているだと!?』

 「私は不死なの。それもとびきりの不死。『月黄泉(つくよみ)』は、私は私が最強である時点に常に巻き戻っているわ。だから、あなたの攻撃をどんなに受けても、受ける前に戻る。それが私の不死。」

 『そ、そんなもの殺せないではないか!』

 「えぇ。だから不死なのよ?あなたたち神龍は攻撃力に極ぶりしているみたいだけど、戦いに慣れていないんじゃないの?」

 『・・・。なぜ、そう思う?』

 「長く生きて戦っていれば、私みたいな者とも戦ったことがあるかと思って。自分の力に胡坐をかいていれば、攻撃もワンパターンになるし、対応できない相手が出てきたら何も出来ないまま終わる。見ていればなんとなくわかりますわ。」

 『ぐっ。まさに、その通りだ。理不尽をねじ伏せるほどの力を有していると自負していたが、これまでの相手が弱かったという事か。』

 「えぇ。私は最強ですわ。相手が悪かったとしか言えませんわね。」

 『・・・我の負けだ。』

 「負けも何もこちらとしては、戦いたくはないのですわ。わかってくださるかしら?」

 『あぁ。わかった。話を聞こう。エクスカリオン。もうやめにしよう。』


 アクアリウムゼムがエクスカリオンに話しかけ、エクスカリオンの方に向いた。

 するとそこには、アーティファクトで覆われた機械の神龍ではなく、ただの球体を持った金色のエヴァがいた。

 

 『な!どういうことだ!?エクスカリオン!』

 『・・・。すまない。アクアリウムゼムが話している合間に我々の戦いは終わっていた。この有様だ。』

 『どういうことだ!?』

 「私のエネルギーの量に機体が耐えられなかったようです。」

 『・・・。そういうことだ。あの金色の機械からエネルギーを吸収して行動不能にさせようとしたが、底知れぬエネルギーに我の体が耐えきれず、崩壊した。』

 「私のエネルギーは無限に等しいです。なので、私からエネルギーを吸収しても意味がありません。その分気体に負担をかけます。相性が悪かったようですね。」

 『・・・。すまない。アクアリウムゼム。』

 『いや、いい。これは、我々の完敗だ。竜谷を守ると言ったが、我々では不可能だ。』

 「さきほどから言っておられる竜谷を守るとはどういうことですか?」

 『お前たちは侵略しに来たのであろう?』

 「違いますわ。この土地と種族と共存したい旨を申し出たところにあなた方が勝手に来たのでしょう?」

 『は?共存?』

 「ええ。そうです。私たちは、世界樹を生やせる土地を探しています。そして、そこに先住しているものがいれば、和平を結び、共存していくつもりなのです。」

 「・・・。我々の早とちりだったのか?」

 「ドラゴンの土地ということもあって、我々も興味があります。こちらは生活の向上をお約束します。とあなた様に言ってもしょうがないのでしょうけど。」

 

 自分達が完全に早とちりをしていることに気付かされた三神龍は、黙ってしまった。

 そこに、石造りの家から竜谷の長を連れたリンが外に出てきた。

 

 「終わりましたか?」

 「なんか、早とちりだったみたいだよ?」

 「そのようですね。」

 「相手も理解していくれたみたいだわ。」

 「こちらも話が着きました。長と話した結果、ここを第三の拠点としようという事になりました。」

 

 三神龍に向かい長が話し始めた。

 

 「申し訳ありません。神龍様。しかしながら、我々竜谷の民は神龍様の信仰だけでは、生きていけない状態です。強大な力をお持ちなのは重々承知の上、この判断が逆鱗に触れるかもしれないと思っております。しかし、生きていくには選択しなければなりません。どうかご理解を。」

 『いや、竜谷の長の判断は間違っていない。我々も力を振るう者としてしか生きていなかった。』

 『うちらよりも強い者がいたらなんて考えてもみなかったわ。』

 『・・・。我々ができることは、力を行使して守るだけだ。それでは、いずれ限界が来る。』

 「ご理解していただき、ありがとうございます。この土地はそのまま残るとリン殿が仰っていました。ですので、引き続きこの土地の神龍として、見守って頂けるでしょうか?」

 『何もできへんで?』

 『イグニコルアスの言う通りだ。我々には何もできない。』

 『・・・。確かに。』

 「できれば、皆さんには、竜谷の指導者として就任していただきたいんですが。」

 

 と、長の横にいたリンが言った。


 『我々がか?』

 「はい。今後、竜谷にいろいろな種族がやってくると思います。それを統率すること。不調和を無くすこと。そういったことが力ある者には必要なのです。」

 『ネームバリューってやつかいな。』

 「そういうことです。神龍が言えば従う。従うとは、不調和を解決するために重要ですから。」

 『その信頼が我々にあると?』

 「信仰の象徴ですから、もちろん我々竜人は神龍様に使えますとも。」

 「神龍様の判断に従います。」

 

 長の横にいたヴィネも膝を着き、頭を下げた。

 三神龍は、顔を見合わせ、決断した。

 

 『敗北者からいう事ではないが、今後の事よろしく頼む。リン殿。』

 「わかりました。ありがとうございます。では、我々の主を呼ぶとしましょう。」

 

 そういうと、リンとエヴァは協力して念波を飛ばした。



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