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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第253話

第253話 調査隊1



 マルスは、ゆっくりと浮上するように意識を覚ました。

 

 「うぅん。私は確か・・・。」

 

 体を起こし辺りを見渡すと、そこには、回復魔法を施すメルトとアルト、そしてそのメルトとアルトに魔力を譲渡しているユーアの姿。そして、マルスの横には治療を受けているガルフが横たわっていた。

 

 「起きたか。ここにいる者たちは全員ゴーレムを倒したのだな。」

 

 ユーアが言った。

 メルトとアルトの戦いを聞いていたユーアは、量産型エヴァがいないことについて触れなかった。

 

 「ユーア様。ガルフ様の容体は?」

 「なに。メルト様とアルト様がいるんだぞ?大丈夫に決まっている。」

 「そうですわ。時期に目を覚ましますわ。」

 「しかし、合流できたのは僕たちだけで、ニニンさんたちはどうなっているのでしょうか。」


 アルトがアダマンタイト冒険者たちの心配をしていた。

 すると、ガルフが目を覚ました。

 

 「っ・・・。」

 「ガルフ様大丈夫ですか?」

 「あぁ。なんとかな。かなり体を酷使した様だ。」

 「フィル様の作った魔石のゴーレムだ。一筋縄ではいかず、限界を超えた戦いだったはずだ。」

 「ユーア殿。ご無事で何よりです。・・・?」

 「なんだ?私の顔に何かついているか?」

 「はい。何やら紋様が。」

 「そういうガルフやマルスにも付いているな。なんだこれは?」

 

 ガルフの右の頬から右眼の上まで、炎のような黒い紋様が浮かび上がっていた。

 マルスは同じところに、激流のような黒い紋様が浮かび上がり、ユーアも同じところに歯車のような紋様がいくつか出来ていた。

 

 「気になってはいたのですが、なんでしょうか、それは。」

 「黒い痣のようにも見えますわね。回復魔法でも治らないということは、ただの傷ではなさそうですわ。」

 「理解に苦しむな。しかし、今回のゴーレムの一件で、少なからず限界は越えたと思う。魔剣も呼応して自分の限界を超えた先の代償であろう。顔に傷か。まぁしょうがない。」

 

 ユーアは、自分の置かれた状況を分析し、無理やりに納得した。

 するとそこに、ピポナッチとニニンを担いだキラキラのエヴァがやってきた。

 

 「皆さん、ご無事で何よりです。」

 「・・・!?エヴァなのか!?」

 「はい。ピポナッチ様に使えるエヴァです。見た目は変わってしまいましたが、正真正銘のエヴァです。」

 「な、なにがあった。」

 「そんなことよりもピポナッチ様とニニン様をお願いできますか?」

 「わかったわ。ここに寝かせてちょうだい。」

 「かしこまりました。」

 「ほとんど回復している状態だ。僕たちは最後の仕上げをすればいいですね。」

 「そうね。ここまで回復してあれば、時期に目を覚ましますわ。」

 「ありがとうございます。ユーア様、我々の魔石の報告ですが、ピポナッチ様もニニン様も破壊してしまいました。そして、この私もこの通り、原型を留めた状態では回収できませんでした。」

 

 キラキラのエヴァは自分の胸を開け、一体化した魔石を見せた。


 「そうか。我々もすべて破壊せざるを得なかった。当初の目的はここで潰えたと言えるな。」

 「魔石の回収はゴーレムのせいでできなくなりましたね。」

 「そうだな。しかし、魔石は9つでよかったのか?」

 「はい。元ケルンには9つの塔が建っており、そこに1つずつ『石筒之男神(いわつつのおのかみ)』の魔石が設置されて、街中を結界で守っていましたから。」

 「ん?フィルは二重の結界と言っていた気がするのだが・・・。」

 「・・・!確かにアドレニスの王城を守るために王城の地下にもう一つありました!」

 「それであれば、最後の一つがどこかに眠っているということになるな。」

 「またゴーレムになってないといいんですが・・・。」

 「しかし、この調査での目標は失われていなかったという事か。」

 「それであれば、もともと王城があった場所に行けば問題ないということですね?」

 「そうだ。行けるか。エヴァ。」

 「はい。現在地から割り出せますので、皆様が回復したらすぐにでも案内することは可能です。」

 「そうか。しかし、この状況では全快になるまでしばし時間がかかりそうだな。」

 

 ユーアはゴーレムとの戦いで疲弊したものたちが全快するまで、休息をとることにした。

 ガルフはマジックボックスから簡易テントや料理台や食材などを取り出した。

 簡易テントの設置を行い、ピポナッチやニニンを横にし、今後の流れを話し合った。

 

―――――


 「そうか、量産型エヴァは、二人の魔法に耐えられず、破壊されてしまったのだな。」

 「申し訳ございませんですわ。」

 「いや、責めているわけじゃない。犠牲がなくして倒せる相手ではなかった。我々元騎士団も魔剣の真の力を開放できたから倒せたと言っていい。そうでなければ、やられていた。」

 「あのアダマンタイト冒険者のお二人もあれだけ消耗した戦いと考えるとフィル様が作った魔石は、人知を超えるものです。致し方ありません。」

 「お気遣いありがとうございます。」

 「さて、気を取り直していくぞ。エヴァ。状況確認を頼んだ。」

 「かしこまりました。現状、元ケルンにあった9つの塔に搭載された魔石は全て破壊してしまいました。しかしながら、王城の跡地である場所に最後の1つの魔石が残されていると考えられます。私の予想ですが、その魔石はゴーレムにはなっていないと考えられます。」

 「なぜそう言える?」

 「それは、地下に埋まっているからです。此度のゴーレムは、魔石が地表にありました。そして、この濃度の濃い魔力から自然発生したと考えられます。」

 「濃度の濃い魔力?」

 「そうです。皆様は感じられないかもしれませんが、空気中に漂っている魔力というものがありまして、それが濃く、ゴーレムに変化させた要因だと考えます。」

 「なるほど。フィル様が言っていた。藍様と天魔神との戦いでの魔力残りということか。」

 「そういうことです。」

 「しかし、なぜ地中の魔石に影響がないと言えるんですわ?」

 「はい。それは、この氷の層と溶岩でできた岩石の層のせいです。この2層が魔力の浸透を阻害していると考えられます。よって、地表面ではゴーレムが発生してしまいましたが、地下ではまだ魔石のままということが結論付けられます。」

 「なるほどな。それならば掘削し、魔石を回収するということになるな。」

 「はい。掘削に関しては、硬い岩盤もあると思いますが、今の私の力があれば、破壊することはたやすいでしょう。」

 「あとは、正確な魔石の位置だけだな。」

 「それも問題ありません。王城周辺にたどり着けば、私がサーチして捉えることができると思いますので。」

 「地中でも大丈夫なのか?」

 「はい。問題ありません。」

 「そうか。では、ニニン殿とピポナッチ殿が目を覚ましたら、このことを共有し、十分に休息を取ったのち出発する。」

 「かしこまりましたわ。」

 「了解いたしました。」

 「かしこまりました。」

 

 ユーアの掛け声とともに一同は、目的を新たにした。



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