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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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223/329

第223話

第223話 帰る場所


 「帰ろっか!」


 とにこやかにフィルは言った。

 しかし、紅が難しい顔をしながら言った。

 

 「どこに帰るんだぁ?」

 「・・・わっちが戦っていたアドレニス領はもうありんせん。」

 「・・・うちのアルムストラもなくなった。」

 「天魔神との闘いで地形が大幅に変わってしまいました。船に逃げ込んだ人たちも一か所に避難させる必要がありますね。」

 「完全に残っているのは、魔国かしらね。」

 「魔国であれば、ほとんどの機能が残されています。一度そこにすべてを集約させるのがよろしいかと思います。」

 「ミカエルみたいに創造の力でフィルが元通りにすることは出来ないのかぁ?」

 「範囲が広すぎるよ。大陸の一部であれば創造できるかもしれないけど、ここは魔王やサリープ兄様の判断を仰いでから行動した方がよさそうだ。」

 「とにかく、各地にある船を魔国に移動させる必要がありんすね。」

 「そうだね。それくらいは簡単かな。『次元転移』」

 

 フィルがそう唱えると、皆は魔国の魔王城前に瞬時に移動していた。

 さらには、各地に散らばっていた船も魔国の外側に整列した状態で並べられていた。


 「ほえ~。」

 「魔法のキレが段違いですね。」

 「ガブリエルの力を取り込んだからかな。彼の能力は簡単に言うと伝達や影響だからね。この世界に魔法を発動させるリソースを少なくすることが出来るようになった。要するに世界に干渉しやすくなったってことだね。」

 「それで私たちも再召喚された際に力がみなぎったのでしょうか?」

 「そういうことだね。ついでに紅や茶々丸、エヴァも召喚してしまったけど、今まで通りだから心配いらないよ。」

 「忠誠とかはよくわからないけど、うちが好きなフィルがそのままならなんでもいいぞ!」

 「唐突な告白!」

 「しれっと告白してるんじゃないわよ!」

 「あぁん?さっさと気持ちを伝えなかったらいつ死ぬかわかんないだろぉ!」

 「・・・。それもそうだわ。フィル様愛していますわ!来世も共に!」

 「・・・まぁまぁ、とりあえずは魔国で復興のことを考えていこうよ。」


―――――


 魔国の魔王城には、船と同じような機能が搭載されており、たくさんの子供たちと量産型エヴァがいた。

 その中に魔王エヴァも一緒に天魔神との闘いが終わるのを待っていた。

 

「フィル。よく無事で戻ってきてくれた。この大陸の全ての者の代わりに礼を言わせてくれ。」

「いえいえ。僕は何も。頑張ってくれたのは、僕じゃなくて、みんなです。」


後ろに控えていた従者たちは、鼻高々だ。


「しかし今回の件で、とてつもない被害が出てしまった。魔国が辛うじて機能しているのが唯一の救いですね。」


魔王エヴァの横にいたサリープが言った。


「その件なのですが、生き延びているものを今魔国に集約させてしまいました。天変地異のあった場所は今後どうなっているか調査する必要があると思います。アドレニス領にあった船やアルムストラ領にあった船も一時的に魔国へ転送させました。今は、魔国の外で並べてありますが・・・。」

「うむ。それは助かる。しかし、すべての者を受けいれるための準備が出来ていない。量産型エヴァも船の護衛で大半が破壊されてしまった。」

「魔国内に移住させるには、まだ時間がかかりそうですね。」

「船の中なら1年程度は住める。しかし、もっと早く魔国に定住させたいところだな。」

「故郷を復活させることは出来ないのでしょうか?」

「そのことなのですが、あまりに規模が大きすぎてすべてを元に戻すことは出来ないのですが、フィニア領であれば、僕の力で戻すことが可能だと思います。」

「フィニアか。エルフさえいれば衣食住は再建可能だな。」

「その通りです。どう思いますか?サリープ兄様。」

「個人的な話をすれば、エルメスの故郷は元通りにしてもらいたい。さらに言えば、フィニア領は植物の楽園だ。アドレニス領やアルムストラ領を再建するよりも、食料やそれ以外の物資を調達しやすいメリットがあると思う。」

「確かに。現状、一番の心配は食料だ。例え生き延びたとしても食料はいつか底をつく。それをいち早く解決したいところだ。」

「わかりました。フィニア領を再建するために僕は転移魔法陣の作成とフィニア領の再生を行いたいと思います。」

「すまないな。いろいろ面倒ごとを押し付けて。」

「いいえ。とにかく今はみんなが帰る場所を作らないと。」

「魔国の受け入れ人数やフィニアへの移送者リストはこちらで作成しておく。」

「わかりました。では、僕はすぐに取り掛かります。僕の従者たちは復興のお手伝いを指示しておきます。」

「ありがたい。では頼んだぞ。」

「はい!」


―――――


 フィルは、魔国にフィニア領へ行く転移魔法陣を作成した。

 

 「これでよしと。・・・と、皆さんも付いてくるんですか?」

 「それはそうだ。私の故郷だからな。」

 「エルメスは僕の妻だからね。」


フィルと一緒に行くのは、エルメスとサリープと幾人かのエルフの護衛だった。

 

 「フィニア領を再生した後は、フィルは魔国に戻るだろ?それからのことは、こちらで何とかするからさ。」

 「そういうことでしたか。では、行きます。『次元転移』」

 

 魔法陣に光が灯り、これで魔国とフィニアを通じる転移魔法陣が完成した。




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