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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第201話

第201話 神格化



 フィルは、ミカエルの『偽神神衣(ぎしんかむい)』と自分の『簡易図書館(インスタント・ライブラリ)』を融合させた。

 ミカエルの持つ能力は、『創造』の力。『熾天使(セラフィム)』の中でも最強とうたわれるほどの力である。

 すでにフィルは、ヘリオスを吸収して『智天使(ケルビム)』の力を得ていた。

 そこに、消滅してしまったミカエルの恩寵の残骸を吸収し、『熾天使(セラフィム)』と同等の力を有していた。

 ここで、「天照」動力源が恩寵化したものを取り込むことによって、ミカエルの力を手に入れることが出来た。

 そして、今、地上に起こりえる厄災に対処すべく、自身の『知恵』とミカエルの『創造』の力を融合することで、神格化に成功した。

 

 従者たちは、フィルの変わった姿を見た。

 これが自分たちが到達すべき頂だと理解した。たったの一カ月で到達するには、程遠い歴然とした力の差を埋めるべく、各々が自分たちを見つめ直した。

 

―――――


 「当然、フィル様と同等の力を有している奴が敵に回るということでしょうね。」

 「異次元とはこのことでありんす。」

 「天使にも追いつけていないうちらじゃどう頑張ればいいか・・・。」

 「最低限リリィが言っていた、魔力を纏うというのは実現させたいところですね。」

 「それに関しては、リンと紅はすでに出来ているでしょ?」

 「はい。維持するのが厳しいですが。」

 「うちは感覚でやってるから教えられないぞぉ。」

 「私は、魔力を纏うという感覚が理解できません。」

 「確かにエヴァは、どちらかというとエネルギーを放出している感じですわね。」

 「帯電という点では、私と同じだと思うのですが、何か根幹が違うのでしょうか。」

 

 皆が話しているときに、奥からフィルが本を読みながら入ってきた。

 

 「神格化っていうのは、エネルギーがある一定の上限を超えたからなるものじゃあないんだよ。」

 「というと?」

 「紅は天使よりも強い。なんなら、神に届く攻撃力を誇っているよね?でも、そのエネルギーを利用したエヴァが同じことが出来ないのは理屈に合わない。というわけ。」

 「じゃあ、何が必要?」

 「内包するエネルギーじゃなくて、器の方を大きくするってことだよ。要するに進化だね。」

 「進化・・・。」

 「僕は種族としては、ヒューマンだけどもはや違う種族として認識してもらった方が話は早い。ヒューマンから天使。天使から神って種族に進化したんだ。まぁ。神様っていうのは言い過ぎだと思うけど。」

 「種族が変わる・・・。」

 「行きつく先はみんな神の領域さ。魔術も科学技術も医術も治癒魔術だってそう。内包する魔力よりもそれを行使できる器がどうなっているかが、その術を神格化させるわけ。」

 「ゴブリンがホブゴブリンになるみたいな話かぁ?」

 「うーん。そんな小さな話じゃないんだけど、簡単に言うとそういうことだね。」

 「じゃあ、うちは今四大精霊じゃないのかぁ?」

 「精霊だっていっぱい種類はあるでしょ?例えば火属性で言えば、サラマンダーとかイフリートとかさ。でも、紅はその上位の存在、大精霊だった。で今では、そのリミッターすら超えて精霊では収まりきらないよね?その上に名前を付けるとしたら、それこそ『天照大御神(あまてらすおおみかみ)』なんだよ。」

 「『天照大御神(あまてらすおおみかみ)』だってさ。かっちょいいじゃん。」

 「神の力は破壊する力だけじゃない。もちろん扱えるエネルギーの量が違うけど、本当にそういうことだけじゃない。」

 「・・・。ちっぽけな存在と改めて認識したでありんす。」

 「うちも・・・。」

 「翠も藍も項垂れている場合じゃありませんわ。私はすでに最強なのですわ。これ以上の伸びしろがさらに用意されているということは、さらに強くなれるということなのですわよ?」

 「生きている間ずっと伸びしろということです。」

 「ワン!」

 「茶々丸も神様になるのかぁ?」

 「神格化されるのは、ひとつじゃない。この世は全てに神様が宿ってる。だから、自分を特別だって自分が信じてあげなきゃ。まずはそこからだよ。」

 「しかし、フィル様は、本当の神というものと会話したことがあるのでしょう?」

 「うん?まあね。思い出といえばリストラ通告だけど。」

 「この世は多神であることも理解できますが、その本物の神というのは、どういうものなのでしょう。」

 「もっと違うことを見ている神様ってことかな?」

 「違うこと・・・?」

 「なんて言えばいいのかな?多分、この世の事とかじゃなくてもっともっと広い視野で物事考えているってこと。」

 「この世界よりも広い視野ですか?」

 「うん。僕もたかが天使だったから神様の全てを知っているわけじゃないけどね。」

 「では、今回の敵は、その神様ではなく、一部が神格化された存在ということなのですね?」

 「そういうことだね。この前戦ったダイダラボッチと同じような存在だよ。到底僕一人じゃどうにもできない。だからこそ、大陸は団結して全ての国民を助けようと考えているってわけ。」

 「一体、どんな相手なのでありんすか?」

 「ガブリエルが作ったのは、天魔神だよ。」

 「天魔神?」

 「天界と地獄の力を使わないと作ることが出来ないはずの地上を淘汰するだけの存在。」

 「それが天魔神・・・。」

 「今更、地獄のクロムウェルに言っても遅いけど、あいつもガブリエルに手を貸しているのは間違いない。」

 「また地獄ですか・・・。」

 「天と地と獄ってのは、三位一体ってわけじゃないんだ。あくまでも、天界と地獄が地上を管理しているっていうのが本来の姿。これは、ガブリエルの言っている通り。だけどね、それに抗うように地上は発展しているし、そのために進化している。淘汰されるべきは地上ではなくて、もう役目のない天界と地獄のほうなんだよ。」

 「役割はもうないのに、しがみついているということですね。そして、天魔神を使いリセットしようとしていると・・・。」

 「そういうことになるね。僕が調べた上では、天魔神は4体いる。その復活を成し遂げるために「天照」動力源を使ったんだと思う。マザーブレインに搭載していた「天照」がかなり小さくなっていたし。」

 「天魔神が4体・・・。」

 「ごめんね。分かるのは名前まで。『天魔神ライズ』『天魔神チラス』『天魔神ラスト』『天魔神フィア』の4体。どんな能力かは、分からないけど世界を滅ぼせるほどの力を持っているに違いない。それで、実は『簡易図書館(インスタント・ライブラリ)』で借りられる本がどんどん縮小しているんだ・・・。これは、前から分かっていたことなんだけど。僕の能力は本として残っているものだけを借りられる力。違う媒体になってしまうと読むことが出来なくなっちゃうんだ・・・。」

 「それでは、フィル様の力が弱まっているということになりんす。」

 「まぁ。そういうことになるね。このままでいくと『簡易図書館(インスタント・ライブラリ)』は時期に使えなくなる。いよいよ天界の図書館は利用停止になるんだなぁ・・・。」

 「そんな呑気なこと言ってていいのかぁ?」

 「いや、まずいよね。だから今のうちにいろいろ本を読んでいるんだけどね・・・。」

 「魔法を行使するためには、その本が必要だったのではありませんか?」

 「うん。前まではね。今は、知識さえ僕の頭にあれば、ミカエルの『創造』の力で再現できるようになった。」

 「へ?それじゃ、本がなくても神様の技が使えるのかぁ?」

 「そう。僕も強くなったみたい。でも使いこなさなきゃ意味ないからね。」

 

 先を行くフィルは、従者を導くようにいろいろな情報を提供していく。

 しかし、進化するには、自分たちの器をより大きなものとする必要がある。

 この1カ月で、フィルの従者たちは進化するための修行をすることになる。



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