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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第128話

第128話 ケルンへの帰還



 メルトとアルトの魂の復元を理由に、アルムストラに旅立ち、ヘリオスに転移させられ、再集結しヘリオスを倒した。

 というのが、これまでの経緯だ。

 しかし、この期間一度も王宮へ連絡しておらず、ガルフたち騎士団は捜索隊を結成し大規模な捜索をしようとしていた。

 そこへ、フィルの魔法陣が突如として現れ、フィルたちが転移してきたのだから、騎士団や王宮内は大混乱になった。


 「フィル王子、帰還―!」

 「フィル様がお戻りになられました!」


 すぐに王宮内のすべての者に知れ渡り、騎士団長のガルフも胸をなでおろした。

 

 そして、現在、フィルたちは、宮殿内の自室にいた。

 

 「かなりの時間、留守にしていたから父上やガルフ兄様からいろいろ言われるんだろうなぁ。」

 「そうでありんすね。とくにヘリオスの存在自体、ケルンには届いていないようでありんすし。」

 「ヘリオスと戦っていたと言ってもアドレニス王からしたら何のことやらだと思いますよ。」

 「とにかく!こうして無事に帰ってきたってこととメルト姉様とアルト兄様の魂を肉体に戻すほうが優先だよ!」

 「長期不在の理由は、魂の復元に手間取ったということにするのが一番ですわ。」

 「私の存在はどうなるのでしょうか・・・。」

 

 エヴァが心配そうに聞いてきた。

 

 「そこは心配ないと思うよ。魂の復元に魔人族の力も借りたと言えばいいし、友好の証であるエヴァが僕の従者に加わったってシナリオで行けば。そのうち、魔王にも挨拶いかないとだね。」

 「どうやら長期不在の件は、リリィの案でよさそうですね。それとエヴァの件についても。」

 「心配ない。適当に取り繕っても誰もわからない。」

 「確かにそうでありんすね。とくにヘリオスの一件は、誰も分からないと思うでありんすよ。」

 

 そして、アドレニス王の待つ部屋へと皆が呼ばれた。

 

―――――


 「フィルよ。心配したぞ。アルムストラへ向かってからかなりの時間が経つがどこにいたのだ。」

 「そうだぞ。フィル。捜索隊を結成していたのだ。それなりの理由を聞かせてもらうぞ。」

 

 アドレニス王、そしてガルフから詰められたフィル。

 

 「もともと、メルト姉様とアルト兄様の魂の復元のために魔女探しをしにアルムストラへ向かいました。しかし、魂の復元はかなり難しく難航したため、調査範囲を広げた次第です。その際、魔人族の力を借りることが出来まして、このエヴァという者を従えることになりました。」

 「それで、魂の復元はできたのか?」

 「はい。しかしながら、僕の力では、完全に復元することは出来ませんでした。そうですね、できたのは寿命の半分まで。」

 「寿命の半分・・・。」

 「堕天使にすりつぶされていた魂だったのだ。寿命を半分取り戻せただけでも奇跡ではないか。」

 「僕の力が足りず、申し訳ございません。」

 「フィルを責めるものなどいないさ。メルトとアルトを助けてくれてありがとう。」

 「はい。重ねてではありますが、長期の間不在にしてしまい申し訳ございませんでした。」

 「無事に帰ってきてくれて本当に良かった。」

 「そうだな。フィルよ。よくぞ無事に。」

 

 「ところで、バルカン周辺に出現したダンジョンが吹き飛んだことは、フィルと何か関係があるのか?」

 「え!?えーっと。関係あると言えばありますけど、なぜそれを?」

 「あれほどの大規模な衝突が起こればすぐに広まる。特に地獄の門の一件から連絡体制は強化されている。」

 「あ~。なんといいますか。立ちはだかる強敵がいまして・・・。みんなで懲らしめたって感じですね、はい。」

 「そのあと、森が完全に復元されていたという報告もあるぞ?」

 「素晴らしい植林技術を持っているものが、仲間にいましてね。その者が別れ際に森を復元してくれたのです。」

 「素晴らしい植林技術?エルフのことか?」

 「!そ、そうです!エルフの力を借りました!」

 「なるほど、この期間でいろいろな出会いをしたのだな。フィルの見聞を広げるよい機会にもなったな。」

 「はい!この世界は広いなと思いました!」

 「そうか、それはよかった。では、フィルには申し訳ないが、メルトとアルトの回復を任せることになる。よいか。」

 「はい。準備が出来次第、早急に行います。」

 「頼んだぞ。」

 「はい!」


 アドレニス王とガルフとの面会は終わった。

 

 「素晴らしい植林技術ってなんだぁ?」

 「紅。そんなことどうでもいいのですよ。」

 「いやぁ、ひやひやしたぁ。というか、ヘリオスとミカエルが衝突してたらさすがに気付くよね。」

 「跡形もなく消えたっていうのは、さすがに盛り過ぎでしょう。」

 「いや、うちらが転移した時点で荒野だったよ。」

 「そういえば、ダンジョンなんて消え失せていましたわね。」

 「確かに。そうでありんしたね。森じゃなくて荒野でありんした。」

 「でも、なんとか言い逃れ出来たので結果的には良かったですね。フィル様。」

 「そうだね。とにかく今は、メルト姉様とアルト兄様の回復が優先だ。」

 

 そういうとフィルは、ケルンの王城の地下に眠るメルトとアルトのもとまで急いだ。

 魔石の結晶のなかで腐敗せずに保存されていた二人の身体は、綺麗なままだった。



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