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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第122話

第122話 ヘリオスVSリリィ、翆、藍2



 辺りには、湖かと見間違うほどの水たまりが出来上がっていた。

 リリィは、藍の『海竜神(リヴァイアサン)』によって押し流され、ゲホゲホと膝を付いていた。

 翆と藍がすぐさまに駆け寄り、行く末を見ている。

 『海竜神(リヴァイアサン)』の水流によって、赤色のヘリオスの身体は、黒くくすんだ塊に変わっていた。

 

 「かなりの大ダメージとみていいですわね。」

 「炎の身体を維持できないみたいでありんすね。」

 「もう一発はもう無理。」

 「体が個体化している間に壊すのが一番でありんすね。」

 「任せておきなさい。」


 リリィは、立ち上がると、大鎌を担ぎ個体化したヘリオスへ近づき振り下ろした。


 「ドスッ!」

 何かが貫通する音と共に、リリィは声を上げた。

 

 「藍!翆を守りなさい!」


 それは、個体化したヘリオスがリリィの胸を腕で貫き、頭部から光が漏れ溢れている状態だった。

 そして、ヘリオスは爆発した。リリィもろとも大爆発した。

 高温の熱風は、辺りに広がり、藍がかろうじて水の盾で自身と翆を守っている。

 

 個体から一気に昇華し完全燃焼したヘリオスは、元の姿に戻っていた。

 メラメラと燃える頭部が、藍の攻撃がなかったかのように、赤く輝いていた。

 

 黒い蝙蝠が、翆と藍の近くに集まり、リリィの姿を形成していく。

 

 「完全に油断したわ。」

 「水で個体化させても爆発してリセットとは弱点がありんせん。」

 「炎を消しても意味がないってこと?」

 「・・・。」

 「藍の力でも火種が残っていたのでありんしょう。少しでも火種が残っていたら再燃してしまうのでありんしょう。」

 「そうかしら?」

 「どういうことでありんすか?」

 「かなり間近で見ていたからわかったけど、火が燃えるような感じではなかったわ。」

 「どんな感じ?」

 「何て言えば・・・。一気に爆発したような・・・。」

 「それだけじゃわからないでありんすね。」

 

 勢いを取り戻した赤色のヘリオスは、先ほどとは違い明らかに尋常じゃない熱を放っている。

 手のひらを開いたり閉じたりしているところには、小さな爆発が起きており、極光を放っている。

 まさに、全身核爆弾と言ったところである。

 太陽のような姿からも明らかに、地上の生物でどうにかなるような相手ではなかった。

 

 リリィは、強烈な温度の上昇を肌で感じていた。

 ひたひたと歩き近づいてくる赤色のヘリオスは、先ほどとは違い炎とは表現しにく、高温のエネルギーの塊へと変化していた。

 

 「さっき殺せなかったのが痛いわね。翆と藍は少し離れなさい。死ぬわよ。」

 「しかし、あれはリリィでもどうにもならないでありんしょう。」

 「また、冷やせばなんとかなるんじゃないの?」

 「あれが次爆発したらこの星がなくなるわ。あなたたちも見ていたでしょう?さっきミカエルが持っていた巨大なエネルギーの塊を。出所はわからないけど、あれを模倣したんでしょう。ミカエルが出てこないところを見ると爆発しないのかもしれないけれど。」

 「確かに。さっき次元の切れ目に放り投げたものと似ている気がするでありんす。」

 「ミカエルは何もしてこないのはなんで?」

 「本当に大変なことにならない限りは、手を出さないってことなのかしらね。知ったことではないわ。けど、うちらで止めるならあまり悠長なことはしてられそうにもないわね。」

 「策はありんすか?」

 「あると言えばあるわ。ここで使っていいのか悩みどころだけど。」

 「出し惜しみしてる場合じゃない。」

 「そうね、合図したら一番の氷結魔法を私もろとも打ち込んでちょうだい。」

 「わかった。」

 「翆は何が何でも藍を守り抜きなさいよ。」

 「わかったでありんす。」


 リリィは、単騎で赤色のヘリオスへ突撃する。

 ヘリオスの高温は、距離を詰めようとするリリィの行く手を阻んでくる。

 

 体の先から徐々に炭化していくリリィは、自身の不死の力で超回復しながら無理やり距離を詰めていく。

 その間に、藍と翆はお互いの魔力を同調させ、大量の魔力を使ってしまった藍と余力のある翆で帳尻を合わせ、リリィの指示を待っている。


リリィは、大鎌を取り出し、赤色のヘリオスを先ほど同様に切り刻もうとしている。

しかし、ヘリオスの噴き出す熱気で、大鎌はぐにゃりと曲がり、刃先から蒸発していく。


 「フィル様からもらったデスサイズが!」

 全身が燃え、炎に埋め尽くされるリリィは、超再生を繰り返しながらヘリオスへと攻撃を仕掛ける。

 しかし、そのすべてが、ヘリオスへ着弾するまえに、燃え尽き消えていく。

 

 「リリィ!」

 

 翆と藍は見ていられなかった。

 最強と自負しているリリィが、成すすべなく炭化し消失していく姿をみるのは。

 

 「まだぁ!死んでない!」

 炎の中から聞こえるのは、リリィの声だった。

 『時間加速(タイム・アクセル)』を限界まで発動させ、炭化して消えるまえに超再生し、姿をかろうじて保っている状態のリリィは、赤色のヘリオスに触れた。


 「今!『(とき)封印(ふういん)』」


 リリィの五つの魂を生け贄に発動された封印の魔法陣。時を操るリリィの最終手段。対象の時間を完全に停止させ、封印する魔術。

 1つの魂で、10年。5つで50年の封印をする。もちろん、残りの残機を使った封印魔法は、太陽と化したヘリオスに有効だった。



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